ふわり、ふわり。

紅が舞う・・・。





あと百本・・・女の子





「そういえば柳生、知っとったか?」





「何がです?」





「あの山にはな、出るんじゃ。 女の子の幽霊が。」





仁王のその言葉を聞いて、柳生はふっと笑った。





「いきなり何かと思えばそんな話ですか。

 あいにく私はそういうたぐいの話は信じていませんから。」





「あっ、お前今鼻で笑ったじゃろ! ひどい奴じゃな〜。

 せっかく俺が親切に教えてやっちょるのに。」





仁王はそう言ってふんだとすねてしまった。

それに柳生はやれやれといった感じで、





「誰も聞かないと言ったわけではないでしょう? 私はただ信じてないと言っただけですよ。

 聞かないなんて言ってません。 だから、ほら、話してくださいよ。」





「どうせ俺への哀れみか何かじゃろ。 まあでも話してやるぜよ。」





そう言って仁王は語り始めた・・・。



                                        ★



数日後、柳生のクラスは授業で山に来ていた。

そう、前に仁王が話してくれた山に・・・。

その日の目的は理科の観察で使う材料の収集だった。

クラス全員、各自目標のものを集めるために山の中を歩き回っていた。

柳生も例外ではなく、1人で山の、そう深くない所を歩いていた。





「・・・さて、これだけ集めれば十分ですね。

 戻りますか。」





そう呟いて、腰を上げたその時。





「?」





柳生は不思議な光景を目にした。

そこに1人の女の子が立っていたのだ。

その女の子は、真っ赤な着物を着て、静かにそこに立っていた。





「こんな所で一体どうしたんですか? 迷子になってしまったんですか?」





そう柳生が優しく話かけると、女の子は首を縦に振った。

そして、言った。





「お母さんが見つからないの。 さっきまで一緒にいたのに・・・。」





「そうですか。 では、私も一緒に探しましょう。

 どこら辺までお母さんと一緒にいたか覚えていますか?」





「うん。」





そう言うと女の子は、柳生の手を握ってきた。

その瞬間!





ゾクッ!





柳生の背中を悪寒が走った。 それはなぜか。

それは手を握った女の子の手が以上なまでに冷たかったのだ。 そう、まるで死人のように・・・。





「まさか・・・!」





柳生がそう呟くと、女の子が彼を見て、にたあと笑った。





「逃がさない。」





『あの山の傍の村で昔、ひどい飢饉があっての、多くの人が亡くなったそうじゃ。

 人々はその飢饉を山の神の怒りだとして、それを納めて貰うために生贄を山に差し出した。

 生贄にされたのは小さな女の子。 その子は孤独に恐怖しながら死んだそうじゃ。

 それから、あの山で真っ赤な着物を着た女の子が現れるようになった。

 その子は寂しさを紛らわすために山に入った人間を連れていくという。

 だから悪いことは言わん。 あの山にもしも入って女の子に会ったら即行で逃げるんじゃ。

 その子に手を握られたら終わりじゃから・・・。』









【あとがき】

連載を書かずにこんなのを書いてしまいました。

一体これはなんなのでしょう? 初短編がこんなのでいいのか?

えっと、まず最初の被害者は柳生です。

彼はいい人だから相手がどんな人でも声をかけそうなので白羽の矢が刺さりました。

次の犠牲者は誰でしょうね。

連載みたく放置しないようにがんばります・・・。



05.7.6



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