昔々のお話です。
ある深い山の中に人知れず大きな館がありました。
その館には、誰も知らない秘密が眠っていました。
このまま誰もそれを知らないであろうと思われた時、その館に訪れる者がありました・・・。
輝きを失った石 第一章・1
「ちょっとガックン俺のお菓子返してよ〜。」
「へっへ〜んだ。 返してなんかやらないよ〜だ。」
「お前らいい加減にしろ! 少しは黙れ!」
「・・・跡部君、大変そうですね。」
「まったく。 氷帝たるんどるっ。」
・・・俺達は今バスの中にいる。
ことの始まりは一ヶ月ほど前。 監督が合宿をやる、と言ったのが始まりだった。
その目的はいたって明確。 実力の強化。
最初は氷帝のレギュラーだけでいくのかと思っていたのだが、そうではなく、各校から何人か集まって一緒に行くのだそうだ。
この時一緒に行かないメンバーはあとで合流する予定になっている。
そして、合宿当日。 全員を乗せるためのバスが各校を回り、ここに先生2人を含む24人が集まった。
★
全員を乗せたバスは、人里はなれた森の中の道を走っていた。
そして、後ろのほうで皆がわいわいとしゃべっている中、運転手があることに気付いた。
「? ここは一体どこなんだ? おかしい。
道を間違えるはずはないのに・・・。」
バスはいつの間にか、運転手も分からない道を走っていた。
その道は、綺麗に舗装された道ではなく、砂利に覆われた獣道だった。
砂利道を走る、普通とは違う振動に、全員はやっとバスが変な所を走っていることに気付いた。
「おい、このバスなんかおかしくねえか?」
「そういえばそうだな。 ・・・砂利道を走っているようだ。」
「手塚、こんな道を走らなければいけないような所にあるわけじゃないよね?
僕らが今から行く合宿所は。」
「ああ。 もっと普通の場所のはずだ。
・・・竜崎先生、一体どういうことです?」
「分からん。 榊先生、どうなんですか?」
「こんな道を通る予定なんてまったくない。
運転手が間違えたか・・・。 運転手さん、すいませんが道が間違ってませんか?」
榊がそう尋ねると運転手は困惑した顔を全員に向けた。
「私もそう思うんですが・・・。 でも道を間違えた記憶はないんです。」
「そうですか・・・。 では、なんで・・・。 ・・・!!!
危ないっ!!!」
「うわあーーーーーー!!!!!」
ガッシャーン!!!!!
榊が叫んだのは、運転手の前に、大きな木が立ちふさがっていたから。
それに運転手が気付いた時には全てが遅かった。
バスを襲う激しい振動に全員が床に投げ出されたり、窓に体をぶつけた。
あまりの痛さにうめき声を上げながらも、なんとか起き上がった全員は、そこで木に体を貫かれ、事切れている運転手を見た・・・。
「うっ・・・。」
そのあまりにもおぞましい光景に、顔を反らした者も少なくはなかった。
運転手の体からはまだ血が流れ続け、周りの椅子や窓にも、大量の血が飛び散っていた・・・。
「うっ。 おえっ。」
運転手の一番近くに座っていた岳人が、嘔吐した。
その顔や腕には、飛び散った運転手の血が付着していた。
「大丈夫か? 岳人。」
岳人のダブルスパートナーの忍足が、彼を心配して傍によっていき、その背中をさすってやっていた。
その顔は、岳人と同じように青ざめていた。
無理も無い。 彼らは今まで見たことのない光景を見ているのだから。
「・・・先生、とりあえずここを離れましょう。
幸い、近くに建物があるみたいです。 さっき窓から見えていたのを覚えています。
とりあえず、そこに・・・。」
佐伯がそう言うと、全員が軽くうなずいた。
そして、全員はその佐伯が見たという建物に行くことになった。
だが、彼らはまだ知らない。
これから先、地獄が待ち構えていることなど・・・。
【あとがき】
やっと始まりました。 ホラー長編、輝きを失った石。
どんな内容にするのかかなり考えてしまいまして。
・・・いきなり人死にましたね。 まあ、本編とは何の関係もない人なんですが。
ホラーを書くのは初めてなので、これ全然怖くなんか無い〜。
って思われる方もいらっしゃるとは思いますが、お付き合いしていただくと大変うれしいです。
次から場所は移り、この話のメインのステージへとなります。
では、これから先、更新はかなり遅いかもしれませんが、お付き合いくださると本当にうれしいです。
05.3.27
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