休める場所を求めて辿り着いたのは、大きな館でした。

しかし、ここには・・・。





輝きを失った石   第一章・2





合宿場に向かうバスの中、突如自分たちを襲った悲劇。

その場にいるのは困難を極めたため、全員はバスを降り、山の中を歩いていた。

向かうは、さっき佐伯が見たという建物・・・。








・・・山道の中を、全員は無言で歩いていた。

無理も無い。 さっき、人が目の前で無残に死ぬのを見てしまったのだから・・・。





「岳人、大丈夫か?」





忍足はそう岳人に声をかけた。





「ああ、大丈夫だよ。 心配すんなって。」





岳人はそう言って忍足を心配させまいとしたが、その顔は真っ青だった。

彼は、さっきの事故で、運転手の一番近くにいた。

そのため、運転手が死ぬ様をはっきりと見、そしてその血もあびてしまったのだ。

彼は、精神的に、深い傷を負ってしまった・・・。

その間も、全員は確実に前へと進み、ついに・・・。





「・・・ここです。 さっ僕が見た建物は。」





そう言う佐伯の前に建つのは、かなり古い洋館だった。

館の周りにはつたが覆い茂り、それがまた館の不気味さを増長させていた。





「かなり不気味な建物だね。 ここ。」





そう呟いたのは千石。 その顔には、いつもの明るさは無かった。





「そうだな・・・。」





相槌をうつ南の表情も固かった。

そんな状況を一番先に変えたのは榊だった。





「こんな所に突っ立っていても何も変わらない。

 とりあえず中に入るぞ。」





その言葉に全員うなづき、榊を先頭にして、全員は館の中に足を踏み入れた・・・。









館の中は不気味なほど静まりかえっていた。

当然のごとく、人が住んでいる気配は全く無い。

全員が足を踏み入れたのは、どうやらホールのようだ。

そこはかなり広く、目の前には大きな階段があり、二階へ行けるようになっているようだ。

階段の後ろには、全員のいるところからではよく見えないが、どうやら2つの扉があるようだ。

他にも左右にひとつずつ、大きな扉があった。





「・・・やはり人の気配はないか。

 そうだな、とりあえず何人かでチームを作り、この館の中を探索しよう。

 このままいても何も変わらないからな。」





榊がそう言うと、全員はうなづいた。

そして、彼が言ったとおり、彼らはチームを作り始めた。









数分後、チームができた。

まずは、跡部・宍戸・長太郎・ジロー。 次は、真田・柳・柳生・仁王。

手塚・リョーマ・不二・乾。 佐伯・ダビデ・樹・黒羽・観月。 そして、千石・南・東方・祐太の計5チーム。

忍足は岳人と一緒にここに残ることになった。





「いいかい、お前達。 何が起こるかわからないんだ。

 十分気をつけて行ってくるんだよ。」





「「はい。」」





スミレにそう言葉をかけられると、全員はそう返事を返した。





「跡部。」





他の仲間が行こうとしていたところへ、忍足がそう声をかけた。





「どうした? 忍足。」





その声に反応し、跡部は後ろを振り返った。





「・・・いやや。 行ってほしくない。 嫌な予感がするんや。

 ここで行かせてしもうたら、もう二度と遭えへん気がして・・・。」





忍足がそう言うと、跡部はふっと微笑んだ。





「大丈夫だ。 心配すんな。

 絶対戻ってくるから。」





「約束やで・・・。」





「ああ、約束だ。」





そう言うと跡部は忍足に背を向け、他の仲間達と一緒にこの場をあとにした。

その後ろ姿を、忍足は不安そうな目で見つめていた・・・。









【あとがき】

・・・なんとか2話です。 展開がやたら早いなあ。

この話から舞台が洋館へと変わります。

この洋館やたら広い予定です。 

なので、できれば見取り図なんかもつけたいと思っています。

05.4.4



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