時は混沌の時代。 世界には魔物がはびこり、人々はその影に怯えていた。

だが、希望の光もあった。 彼らは絶大な力を持ち、人々を守っていたため、騎士と呼ばれていた。

騎士にはアーティシャルと呼ばれる者がついていた。 彼らは人に創られた者だった。

・・・そして、この物語は、一人の騎士と一人のアーティシャルの偶然の出会いから始まる・・・。 







Symphony of destiny  第一章・1






「はあ・・・。 今日の俺ってツイてない・・・。」





そうつぶやきながら森の中を歩く、一人の男がいた。 その外見は若く、飄々とした雰囲気を放っていた。

だが、その眼光は時折鋭く光り、辺りを見回していた。

生い茂る木々の間から射して込んでいる日の光に照らされるその髪はあざやかなオレンジ色で、腰には一振りの剣を差していた。

彼はこの森を抜けた先にある町に行くために歩いているのだが・・・その足取りを見るとどうやら道に迷ったようだ。





「くっそー。 なんで今日はこんなにツイいないんだあー!!」





そう彼が叫んだ瞬間、どこからか誰かが何者かと争うような音が聞こえてきた。





「!! この音・・・近い!」





その音を聞くや否や、彼は音のしたほうへと走り出した。









(ちっ。 数が多すぎるな。)





目の前に群がる大量の魔物を見て、舌打ちした人物がいた。

その容姿はとても美しく、髪は色素の薄い茶。 相手に向けられる意志の強い瞳は、深い、深い蒼だった

そして、その手には一振りの剣が握られていた。

彼はこの森の中を歩いている時、突然魔物の大群に襲われたのだ。

そして彼は、自分の身を守るために戦っているのだが、敵の数は一向に減らない。





(くそっ。 なんで今日はこんなに多いんだよっ!)





今の状況に彼のあまりにも短い堪忍袋の尾は切れる寸前。 

と、、また魔物が一斉に飛び掛ってきた。 それを剣の一振りで倒したのだが、一匹の魔物が時間差で飛び掛ってきた。





(!!! しまった! やられる!!)





そう思った瞬間、その魔物は真っ二つになってその場に落ち、二度と動くことはなかった。

それを見て、別の人間が来る。 と気配を感じた魔物は、二人だと勝てないと感じたのか、あっという間にその場から消え去っていた。





(これは・・・風の技。 一体誰が・・・。)





そう考えていると、目の前の茂みがガサガサと動いた。 それに彼が身構えると・・・。





「あっ、いたいたー。 ねー、君大丈夫だった?」





そう軽い口調でしゃべりながら出てきたのはあざやかなオレンジの髪をした男。

その見た目はとても飄々としているが・・・。





(こいつ・・・強い。)





彼はそう感じていた。 そして、向こうも・・・。





(・・・彼、強いね。 あの数の魔物をたった一人で相手にするなんて。 

 ・・・! 首に模様。 アーティシャルか。 にしてもやけに強いような気が・・・。)





二人の間に微妙な空気が流れた。 

この空気を先に破ったのは、アーティシャルの男のほうだった。





「さっきは助かった。 じゃあな。」





そう言ってさっさと立ち去ろうとするアーティシャルをオレンジの髪の男は呼び止めた。





「ちょっ、ちょっと待ってよ!」





「何だ?」





「せめて名前くらい名乗ろうよ。」





「お前に名乗る義理なんてない。 ってかだったらお前から言え。」





「あっ、そうだね。 じゃ、俺から。

 俺は 『千石清純』。 ・・・騎士だよ。」





オレンジの髪の男、千石の言葉にアーティシャルはやっぱりなという顔をしたが、すぐに自分も名乗った。





「・・・ 『跡部景吾』 だ。 分かってると思うが・・・アーティシャルだ。」





それを聞いて千石は、何でアーティシャルがたった一人でここにいるんだろう?と疑問に思った。

が、それを今はあえて聞かなかった。





「もういいだろう? 俺はもう行く。」





「あー、まだある! ちょっとストップ!」





「なんだ! とっとと言え!!」





千石が再び呼び止めたことで、跡部の眉間にはしわがよった。





「いや、ね。 跡部君もしかしたこの森を抜けてシュールへ行くつもりじゃない?」





「・・・そうだが。」





「だったら一緒に行こうよ! 実は俺、道に迷っちゃってさー。 このままだとたどりつけないんだよ〜。

 それに一人より二人のほうが魔物に襲われた時楽じゃん!」





千石がそう言った時、跡部は少しうれしかったのだ。 ああ、こんな自分にかまってくれる人がいるんだ、と。





「・・・まあいいぜ。 だが、俺様の足手まといにだけはなるなよ。」





「ひっどーい! こう見えても俺結構強いんだからね!!」





・・・こうして一人の騎士と一人のアーティシャルは出会った。

だが、彼らはまだ知らない。 

この出会いによって運命の構図に新たな歯車が加わり、大きく、複雑に回り出したということに。

そして、その回りはやがて、たくさんのものを巻き込んでいくということに・・・。









【あとがき】

 ついに始まりました! パラレル長編。 早速ですが・・・なんじゃこりゃ!

 まったくもって意味不明ですね。 でも、思いっきりパラレルが書きたかったんです!

 今のところ出てきているのは二人だけですが、これからまだまだ出てきます。

 このキャラの量は一体何よっ?! ってくらいまで。(をいっ!)

 それと、この話にはやったらめっちゃら造語がでてきます。 

 それの説明は「用語(?)説明」のほうでしてますんで併せて読んでいただくと分かりやすくなると思います。

 では、長々と書きましたが、これから先、どうぞよろしくお願いいたします。

     05.3.16


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