館の予想以上の広さに、戸惑いを隠しながらも・・・。





輝きを失った石  第一章・7





さて、ホールにあった階段から2階へと向かった千石達は・・・さっそく困っていた。

それは何でかというと・・・。





「何でココこんなに広いの?」





ホールをざっと見ると、階段を上がった目の前に2つ、そして左右に扉が1つずつ。

そしてさらに反対側には3階へと続く階段があった。





「これって絶対俺達に対するイジメだよな・・・。」





南がそうポツリと呟いた。

だが、このままここにいるわけにはいかないので、4人はとりあえず1番近くにあった扉の左側へと入っていった・・・。



                                       ★



さて、その頃、食堂へと入り厨房を調べ終わった真田達は、仁王達が見つけたという扉のほうへ歩いていた。

その中には心なしか顔の青い2人がいたが・・・。

そしてその扉の傍に来た時、柳があることに気付いた。





「おい、この絵に何か書いてあるぞ。」





実はこの部屋には4人が入ってきた扉の丁度向かいに暖炉が1つあったのだ。

そこの上に絵がかかっていたのは最初から知っていたのだが、文字が書いてあるのは今気付いた。





「どれどれ、何て書いてあるんじゃ?」





仁王がそう言いながら近づいていき、文字を見た。





「んにしてももったいないなあ。 こんなきれいな絵に文字書きよって。」





・・・この絵には2人の女性が描かれていた。

その手には1つの透明の石を持ち、周りにはさまざまな色をした石がちりばめられていた。

そしてこの絵全体に光が描かれていて、希望を思わせるような絵だった。

そんな絵の下のほう。 丁度女性の足の辺りに、文字が殴り書きされていた。





「ちと読み辛いな。 

 なになに 『内に秘められし光が汝らを導く』 って書いてあるぜよ。」





「一体どういう意味だろうな。」





「分かりません。 しかし皆さん、この文字、よく見てください。

 これ、何かで書いてあるんじゃなく、何かで彫られていますよ。」





柳生のその言葉で、他の3人は、ばっとその文字をよく見た。





「ホントじゃ・・・。 何でこんな・・・。」





「どうやら、そうとう慌てていたようだな。

 何がなんでもこれだけは残したかった。 そんな感じがするな。」





「ああ。 だが、今の時点では何も分からない。

 とりあえず、他の場所も探してみるか。」





真田がそう言うと、全員は頷き、暖炉のすぐ右側にあった扉からこの部屋を出ていった。

そして、誰もいなくなった食堂では、絵の中の女性が、静かに一点を見つめていた。

この部屋の静寂を破っているのは、1つの大きな柱時計の、チクタクという音だけだった・・・。



第一章、完結








【あとがき】

何かやけに話の切れが悪いですが、とりあえず続きです。

そして、ここで第一章が終了です。

とてつもなく変な所で切れますが、勘弁してください。

書いてたらこうするしかなくなってしまって・・・。

さて、今回は、しばらく出てこなかった真田達が出てきました。

今の所、1番ひどい目にあっているのが彼らです。

でも、これからどうなるか分かりませんから。

さあ、次は誰?



05.7.12



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