贄はそろった。

そして時は、動き出す・・・。





輝きを失った石  第二章・2





「さて、と。 この中を調べなくちゃいけねーな。」





跡部はそう言って扉の先を見た。

そこには案の定、草が生い茂っていた。





「結構背丈あるのばっかですよね。」





そう言ったのは長太郎。

確かに背の高いものが多く、ジローが入っていったら分からなくなってしまいそうだ。





「僕は行きませんからね。」





そう言ったのははじめ。 皆は一斉にそっちを見た。





「こんな所になんかこの僕が入れるわけないでしょう?

 それに、全員入っていくと、何かあった時に対処できませんよ。

 何人かは残るべきです。」





「確かにそうだな。 じゃあ、ジローと観月と宍戸はここに残っていろ。

 で、俺達は2人ずつ組んで中に入る。 何かあってもいいようにな。

 長太郎、俺と組め。」





はじめの言ったことは正論だったため、跡部は3人を残し、中に入ると言った。





「はい、分かりました。」





「じゃあ、俺達も決めようか。 どうする?」





「誰とでもいいだろ。 じゃあ、俺はダビデと組むよ。

 お前らだとツッコミに困るだろ。 ダビデ、別にいいよな?」





黒羽がそう言うと・・・。





「ブラジャー。」 (ラジャー)





その瞬間、黒羽の強烈なツッコミが・・・。

こうして跡部と長太郎、佐伯と樹、天根と黒羽で組むことになった。

・・・風など一切吹かない庭の中の草が、かすかに揺れた・・・。



                                       ★



千石達が入っていった扉の前にあったのは、1階にもあった巨大なガラス張りの壁。

そこから見えたのは、跡部達が入ってくる前の中庭だった。





「へえ〜、なかなかすごい作りになってるんだねえ〜。」





「こってるよな〜。 でも、あの下は何なんだろうな? 庭みたいだけど。

 それにこの部屋も。 何でガラス張りになってるんだ? なんか見世物みたいだな。」





南の言ってることは確かだった。

その言葉に3人が考え込んでいると・・・。





「先輩達!! あれ、何ですか?!」





突然祐太がそう大声を上げた。 3人が慌てて祐太の指しているほうを見ると・・・。





「・・・ホントだ。 何かある。 何だあれ?

 草でよく見えないけど・・・光ってる?」





千石の見た先には、何やらキラキラと光るものが。

それは千石達から見て入口の左側の所に落ちていた。

それが何だろうか必死に目を凝らしていた時、今度は東方が・・・。





「?! 何だあれ?! おい、草の中で何か動いてるぞ?!」





その言葉に、全員は固まった。 それも当然だろう。

この中で何かが動いているなどありえないのだから。 と、その時、扉が急に開いた。

そう、跡部達が入ってきたのだ。





「おい、このままだとヤバイぞ!

 あれが何だか知らんが、あいつらがやられるかもしれない!!」





南がそう言った瞬間、祐太は全力でその場から走り出した。





「祐太君! 1人で行くな! 危険だ!!」





東方がそう言っても止まらず、彼は走っていってしまった。

そしてそのあとを千石が追おうとしていた。





「南、東方。 君達は下のホールで待ってて! 彼は俺が追いかける!

 それと、先生達にこのこと言って!!」





「「分かった! 任せとけ!!」」





そう言う仲間2人の声を背に、千石も走り始めた。





(どうか間に合いますように・・・。)





そう心から願いながら・・・。









【あとがき】

さあ、とんでもなくいきなり急展開しました。

このあと彼らの運命は?!

・・・なんか予告っぽく。

遂にダビデがしゃべりました。

ごめんなさい・・・。 あんなので・・・。

私ダジャレ考えれないんですよ〜。

今回のは、とてつもなく苦しかったです。



05.8.25




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