俺は俺の選んだ道を進みます。
それがたとえ、どんなに過酷であろうと・・・。
Sympony of destiny 第一章・4
長太郎が忍足によって目覚めてから、数日の時が経った。
その間、長太郎は池の淵に座り、一人考え込んでいた。
「自分、起きてからなんも食ってないやろ。
腹へってるやろ。 これ食いな。」
そう言って忍足は長太郎に果物を差し出した。
「ありがとうございます。」
それを素直に受け取ると長太郎は口へと運んだ。
だがその瞳はうつろで、心ここにあらずといった感じだった。
「・・・そんなに思いつめんなっつっつても無理な話やろな。
けど、お前さんの主はそんなに悩ませるつもりはなかったんやと思うで。」
そう言って忍足はその場を離れていった・・・。
☆
その晩のこと、ずっと座り込んでいた長太郎は森の中から聞こえてくる音を聞いた。
それはガサガサと茂みを掻き分けるような音だったのだが、だんだんと近づいてくると、音がひとつではないことに気がついた。
(・・・ひとつ、ふたつ、みっつ・・・何だ?
かなりの数が近づいてきてる。)
不審に思い立ち上がると、音の聞こえてくる方を見つめ、目を閉じ、神経をとがらせた。
アーティシャルの耳は人間よりもいいので、音を細かく聞くことができるのだ。
(・・・この足音・・・人間じゃない。 魔物か!!)
そう確信した瞬間、茂みの中から大量の魔物が飛び出してきた。
それをなんとかかわし、長太郎は魔物と距離をとった。
(くそ。 5年も動いてなかったから体が鈍ってる。
このままじゃまずい。)
そう思いながらも、長太郎は腰に差してあった剣を抜いた。
その剣は、5年も水に浸かっていたというのに、どこも錆びてなく、綺麗なままであった。
魔物が鋭い牙をむき出しにさせ、四方から飛び掛ってくる。
それをうまくかわし、すれ違いざまに切る。
ギャウウ!!!
悲痛な叫びを一声あげ、息絶える魔物。
だが、死んだ仲間には目もくれず、魔物は長太郎に襲い掛かる。
(くそっ! なんでここにこんなたくさんの魔物がいるんだ?!)
そう考えながらも必死に剣を振るう。
だが、彼が一匹の魔物を切った瞬間!
(しまった!!)
別の魔物が彼に向かって襲い掛かっていた。
攻撃をしたばかりで体勢の整ってなかった彼は、その攻撃を受けるのを覚悟した時!
『風よ! 邪悪なるものを切り裂け!!
ウイングソード!!』
突然声がし、目の前の魔物が切り崩れた。
その声の主は・・・。
「忍足さん!!」
そう、魔物を倒したのは忍足だった。
彼は、眼鏡を指で軽く上げると、言った。
「すまん、ちょおと向こうへ行っててな。
せやけど、危ないとこやったなあ。 間に合わんかったらやられとったで。」
「すいません。 ちょっと油断してしまって。
でも、もう大丈夫です。 もう、しっかり・・・戦えます!」
「よっしゃ! その意気や!
こんな連中とっとと片付けるで!!」
「はいっ!!」
互いにそう声をかけると、二人は逆の方向へ跳んだ。
そして、忍足は呪文を唱え、長太郎は剣を振るった。
二人が一緒に戦ったことで、魔物の数はどんどん減っていき、ついに・・・。
「よっしゃ! これで、最後や!!」
忍足の唱えた風の技が、最後の魔物を倒した。
「ふう、やーっと終わった。」
「お疲れ様です。」
「いや、がんばったのは自分もやで。 俺達は二人でこいつらと戦ったんやからな。」
そう言い、微笑む忍足に長太郎も微笑み返した。
そして、急に真剣な顔になると、忍足にこう言った。
「・・・俺をお連れください。 マスター。」
突然長太郎がそう言ったのに、忍足は少し驚いたようだったが、すぐにもとのように微笑み、
「ええよ。 それが自分の決めた道なら、俺は反対はせえへん。」
「ありがとうございます・・・。」
そう言って、長太郎は、忍足に深く、頭を下げた・・・。
☆
・・・こうして、また新たな騎士とアーティシャルは出会った。
これによって、運命の構図に、また歯車が追加された・・・。
【あとがき】
・・・ようやく終わりました。 おっしーとチョタの出会いの話。
ほんとうはこれ、1話で終わらせる予定だったんです。 でも、なんか延びに延びちゃって・・・。
結局3話になってしまった・・・。
次からはもっと短くまとめるよう、心がけたいと思います。
・・・でも、また長くなるような気がしてならない・・・。
05.4.2
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