彼らがどんな苦労をしているのかは、俺にはよくわからない。

だが、それが分からなくても、俺には彼らを支えてやる力くらいは持っている・・・。





Symphoy of destiny  第一章・6





『手塚国光』

その名を聞いたことがないというものはないと言っても過言ではない。

その強さは他の騎士をはるかにぬき、ついには『3強』とまで呼ばれるようになった。

3強とはその名のとおり、騎士の中でも1,2を争う3人の騎士の総称だ。

今現在3強と呼ばれているのは、手塚国光・真田弦一郎・幸村精一の3人。

彼らは王都に属し、各地を回って魔物の討伐をしていた。

『越前リョーマ』

彼の名もまた有名だ。

強い騎士には当然強いアーティシャルがつく。

それはアーティシャルが自分よりも強い騎士しか認めないからだ。

そして、アーティシャルにもまた3強と呼ばれる者が存在する。

今の3強は、手塚のパートナーの越前リョーマ。

真田のパートナーの切原赤也。 そして、幸村のパートナーの柳蓮二だ。

そしてリョーマは、手塚と共に魔物の討伐を続けていた・・・。









榊から任務の依頼をうけた2人は彼の部屋を出て、手塚とリョーマの住んでいる家に来ていた。

なぜ来たかというと、彼の家にはある特殊なものがあるからだ。

それはリョーマの力を増幅させるものだった。





「リョーマ、準備ができしだいすぐに飛ぶぞ。」





「分かってます。 ちょっと待ててください。」





そう言ってリョーマは自分の部屋へと駆け上がっていった。

その姿を見送ると、手塚も自分の部屋へと行った。

するとそこには・・・。





「遅いぞ手塚。 待ちくたびれちゃったじゃないか。」





部屋の中には四角い眼鏡をかけた男がいた。

その手にはご丁寧にも湯気のたつコーヒーの入ったカップが握られていた。





「なんだ乾。 今日は呼んだ覚えはないが?」





「ずいぶんと冷たいな。 今日は新しい薬を持ってきたんだよ。

 そろそろ切れるころだろうと思ってね。 それに今から任務だろ?

 任務に行くのに薬は不可欠だからな。」





「そうか、毎回すまないな。 来てもらったそうそう悪いが本当に今から任務で少し出かける。

 今回はすぐ帰ってこられないかもしれない。」





手塚がそう言うと、乾は眼鏡を指でくいっと上げ、言った。





「そうか。 しかしお前もいろいろ大変だな。

 じゃあ俺はとっとと帰るとしよう。」





「そうしたほうがいい。 またこっそりと抜け出してきたんだろう?

 いい加減にしないと海堂が本気で怒るぞ。」





手塚がそう言うと、乾ははははと乾いた笑いをした。

どうやら、すでにもう怒られたあとらしい。

それに手塚があきれた顔をした時、部屋をノックする音がしたあと、リョーマが入ってきた。





「マスター、準備できましたよって、あ、乾さんこんにちは。

 おひさしぶりです。」





「やあ久しぶり。 元気そうでよかったよ。

 じゃあ手塚、俺はホントに帰るから。」





そう言うと、乾は部屋を出て行った。

そして、手塚とリョーマの2人も部屋をでて、家の地下室へと降りて行った。









地下室の壁は石作りのため、ひんやりとしていた。

階段を一番下まで降りて行くとひとつの部屋があり、2人はそこに入っていった。

入るとすぐ目の前に、直径10メートルはあろうかという大きな円が描かれていた。

だが、それはよく見るとただの円ではなく、とても緻密に描かれた魔法陣だった。

2人は部屋に入ると、まっすぐに円の中心へと歩いていった。

そして・・・。





「じゃ、マスター、準備はいいですか? 行きますよ。」





「ああ。」





手塚がそう答えると、リョーマは静かに目を閉じ、唱え始めた。





『時よ、我にその力をかせ。 我に歪みを操る力を!』





そう唱えるとリョーマの力に反応して、魔法陣が輝き始めた。

そして、さらに叫んだ。





『我らを時の道を使い、魔物の巣くう町へ誘え!!

 カレントムーブ!!』





そう言った瞬間、魔法陣がひときわ強い光を放った。

その光が消えた時、2人の姿は、どこにもなかった・・・。









【あとがき】

 ・・・なんかびみょ〜な展開になってきましたね。

 実は最初は乾をこの場所でだす予定はなかったんです。

でも、気付いたら今しかでれる時なくなちゃったんで。

 かなり無理やりだしてしまいました。

 ですので、いろいろとおかしいかもしれんせんが、なるべくスルーして下さい。

    05.4.9


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