平和に暮らす人の生活をめちゃくちゃにする奴なんて、俺がぜってえ許さねえ!

おい、お前ら。 やられる覚悟はできてんだろーな?!





   Symphony of desiny   第一章・7





光が消えたとき、2人が立っていたのはあの薄暗い地下室ではなかった。

目の前に広がるのは大きな城門と町を囲む城壁。

本来ならそれは立派で、町をしっかりと守っていたに違いない。

しかし今は、その面影をかすかに残しながらも、無残に壊れ去っていた。





「・・・結構ひどくやられてますね。」





リョーマがそう言うと、手塚は軽くうなずいた。





「ああ、すぐに行くぞ。 

 相手の力はまだ未知数だ。 油断せずに行くぞ。」





「分かってますって。」





そう会話を交わすと、2人は町の中へと踊り入っていった。









町の中はかなり悲惨な状況だった。

家は壊され、いたるところから火が上がっていた。

人々は傷を負い、道に座り込んでいたりしていた。





「・・・ひどいな。 まさかこんなになっているとは。」





「どうします? マスター。

 人の手当もしなきゃいけませんけど。」





「・・・先に魔物を倒しに行くぞ。

 これの元凶を早くなんとかしなければ。」





「分かりました。 魔物は町の中心に多くいるようですね。」





「ああ。」





2人はそう言葉を交わすと、町の中心へ向かって走りだした。

少し先に進むと、目の前にライオンのような形をしたものや、空を飛んでいる魔物が何体も2人に気付き、襲い掛かってきた。





「マスター、ここは俺に任せてください。

 あなたは早く先へ! 俺もすぐに向かいます。」





リョーマはそう手塚に言いながら、自分の剣をすらりと抜いた。

それに手塚もうなづき、彼も自分の剣を抜いた。





「分かった。 すぐに来い!」





「イエス、マスター!」





そう言うと、リョーマは手塚よりも前に出た。

それを絶好のチャンスと思ったのか、魔物はリョーマに向かって攻撃を放った。

その一瞬の隙を突いて、手塚は魔物の間を走り抜けた。

魔物はそれを見たが、彼をあえて追おうとはしなかった。

それは、手塚よりも体の小さいリョーマのほうが弱そうに見えたからに違いない。

魔物が攻撃を放った所はえぐれ、人の姿は跡形もなかった。

魔物はリョーマを倒したと思い、密かにほくそ笑んだ。

だが、その時!





「あんなんでこの俺が死んだなんて思ってるの?」





突如聞こえたのは死んだはずのリョーマの声。

だが、声は前から聞こえていたのではない。

声は、魔物の背後から聞こえてきていたのだ。

あわてて魔物が振り返ろうとしたその時、1匹の魔物が真っ二つになった。

その攻撃を放ったのはやはりリョーマ。

彼はすとんと地面に降りた。





「まったく、歯ごたえがないなあ。

 新種の魔物だっていうから楽しみにしたのにさ。

 まあいいや。 軽い運動くらいにはなるから。」





そう呟いて、彼は再び地を蹴った。









いっぽうその頃、手塚は町の中心にある大きな広場にたどりついていた。

そこには大きな噴水があり、普段は人々を和ませていたに違いない。

だが今はそんな名残は残していなかった。

そこは今や魔物の巣窟となっていた。

魔物は手塚が広場に足を踏み入れるや否や、彼に向かって襲いかかってきた。

その攻撃をなんなく避け、彼は剣を振るった。

そのたった一撃の攻撃に、数匹の魔物が切り刻まれ、地にひれ伏した。

だが、それになんの動揺も見せず、敵は手塚に向かって攻撃を続けた。

それに対しても手塚は無表情で、攻撃をかわし、敵を倒していった。

だが、一向に敵の数は減らない。

と、その時。





「珍しいですね。 あなたがそんなに苦戦しているなんて。」





そう声がして、目の前の建物の上に人の影が現れた。





「ふん。 お前達が来ると思ったのでな。

 普通の訓練をしているよりも実践のほうがいいだろう?」





「ああ、いわゆるあなたなりの訓練ですか。

 まったく、いきなことをしてくれますね。 でも、感謝しますよ。」





「ありがとうございます。 いやあ、最近腕がなまってたんでちょうど戦いたいと思ってたとこなんすよ。」





そう言いながら現れたのは王都直属の討伐隊の桃城武と日吉若。

彼らもまた剣を抜き、敵に向かっていった。

手塚はというと、2人に譲り、自分は少し下がって見守っていた。

桃城と日吉は強かった。

2人によって魔物は数をやっと減らし始めていた。

だがあとほんの少しといった時、ふいに今までのものよりはるかに巨大な魔物が現れた。





「やーっとボスのおでましってことか。」





そう言う桃城の背にはつうっと冷や汗が流れた。

それだけ相手が強いのだろう。

すると、今まで後ろにいた手塚が前に出てきた。





「お前達は下がっていろ。 

 こいつはまだお前達には早い。」





手塚が前にでてきた瞬間、場の空気が変わった。

魔物もその空気を感じたのだろう。

その場に沈黙が流れた・・・。









【あとがき】

 久しぶりにUPしました。

 ・・・なんか無駄に長くなってる。

 次はもう少し簡潔にまとめたいと思います。


05.4.17



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