なんで俺はこいつと一緒にいるんだ?

だが、なぜだ? こいつと一緒にいるとどこか安心するのは・・・。






Symphony of destiny  第一章・10





時は少しさかのぼり数日前。

森の中で偶然出会った跡部と千石は、道に迷いながらもなんとか目的の町、シュールへと辿り着いた。





「やったあ! 着いた〜!!」





「ったく・・・。 誰のせいでこんなに森を抜けるのに時間がかかったんだよ?」





「う・・・。 まあ、いいじゃない! とにかく着けたんだし。」





「よくねえよ!!」





この数日跡部は千石に切れっぱなしだった。

彼とそこまで合ってないわけではないのだが・・・。 何でだろう?

まあ、とにかく2人は町に入っていった。





「ところで千石。 お前はなんでこの町に来たんだ?」





「ここには次の任務を貰いに来たんだ。 この町のどこかにいると思うんだけど・・・。

 ところで跡部君はなんでここに来たかったの?」





千石にそう問われると跡部は押し黙った。

そして、少しの間を空けて答えた。





「・・・忘れた。」





「は?」





「だから忘れたつってんだろ! くっそ、おかしいな。

 少し前までは覚えてたんだが。」





「跡部君みたいな人でも忘れることがあるんだ〜。 以外。

 どんなことでも絶対覚えてそうなのに。」





千石はそう少しからかうように跡部に言った。

それに彼がぶちぶち切れながらも2人は町の中に入っていった。



                                           ☆



2人が町の中に入り、ちょうど裏路地に入った時、急に頭上から、





「おっ、やっと来ただーね。」





と、声がして、目の前に人がすとんと降りてきた。





「ったく、遅かっただーね千石。 待ちくたびれちまっただーね。」





「ごめん柳沢。 ちょっと事情があって。」





「まあ、千石はいつものことだから別にいーだーね。

 ところでそこにいるのは誰だーね。 見たところアーティシャルみたいだーね。」





そう言って柳沢は跡部のほうを見た。

それにふんっと顔をそらした跡部に代わって、千石が今までのいきさつを説明した。





「・・・ってことなんだ。 事情は分かってくれた?」





「分かっただーね。 で、榊様には知らせなくても本当にいーだーね?」





「うん、別にいいよ。 いちいち王都まで行くのも面倒だし。

 とにかく任務ができてればあの人はあんまり言わないから。」





「じゃ、それでこの話はいーだーね。

 さて、と。 任務の話に入るだーね。 今回はオーブ探しだーね。

 場所は水の都といわれる『リンドブルー』だーね。」





柳沢の言葉に、千石はうれしそうな顔をした。

それもそのはず、リンドブルーといえば水の都といわれるように水に溢れた綺麗な町で有名だからだ。

そんな所に、たとえ任務といえど行けるのだからうれしくないはずはない。





「やったあ! あそこ1度行ってみたかったんだよ。

 よし、じゃあすぐに行こう! 跡部君、行くよ!!」





「ちょっと待て! なんで俺様がお前と一緒に行かなきゃなんねーんだ?!」





「だって跡部君まだパートナーいないんでしょ?

 パートナーがいないうちは、少なくとも俺と一緒にいたほうがいざこざは起きないよ。

 それに、これから行かなきゃならないとこないんでしょ?」





「ああ。」





「じゃあ、決定! 俺と一緒に行こう!

 ほらほら、早く早く! あっ、柳沢ありがとー。 またなんかあったらよろしくねー。」





そう言いながら、千石は跡部を引っ張って行ってしまった。

それを見て、柳沢は呟いた。





「相変わらず騒がしい奴だーね。 あの跡部って人も大変だーね。」





と。 そして、彼もすぐこの場を立ち去っていった・・・。





・・・人気の無くなったその場に、1人の男が立っていた。

その男の顔は、深いフードに覆われていて見ることはできない。

彼は、跡部と千石の立ち去ったほうを見て、誰にも聞こえない声で静かに呟いた。





「・・・やはり封印が解けていたか。

 あの惨劇が再び起こる前に、なんとしても止めなければ。

 あの時の二の舞になんか、何があろうとさせない・・・。」





一陣の風がその場に吹いた。

その風が止んだ時、その場にいた男の姿は影も形もなくなっていた・・・。




第一章、完結









【あとがき】

 やっと・・・やっと終わりました! 第一章、回りだした歯車!!

 長かった・・・。 そして、大変だった・・・。

 最後の最後になってやーっと跡部と千石がでてきましたよ。

 なんでこの2人を出すのにこんなに時間がかかったんだろう?

 まあ、いいや。 過ぎ去ったことは考えないことにしよう。

 次からは第二章になります。

 たぶん、跡部達の出番が増えると思います。 ・・・たぶんね。

 これから話はさらに複雑になっていくと思いますけど、どうかお付き合いいただけると大変うれしいです。


05.5.5




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