お前は・・・一体・・・。





Symphony of destiny  第二章・6





戦いのすえに、4人は何とか竜を倒すことに成功した。

しかし、竜はその命尽きる直前、最後の力を振り絞ってオーブを砕いた。

砕かれたオーブは3つに割れ、そのうち2つはその場から消え去った。

そして残った最後のオーブは、動かなくなった竜の傍らに、浮かんでいた・・・。





「跡部君・・・。 君は一体・・・?!」





千石は呆然とその場に立ち尽くし、跡部を見た。

当の本人もたった今自分がしたことに、驚いているようだった。





「君、本当にアーティシャルだよね?

 でも、俺、敵の攻撃を無効化できる能力なんてきいたことないよ。」





いつもは何があってもあまり取り乱さない伊武が、言った。

菊丸は何も言わなかったが、彼も困惑していた。





「跡部君、君は本当に一体何者なの?

 俺と会う前、君はどこで、何をしていたの?」





千石がそう尋ねると、跡部は戸惑ったような、困ったような表情を浮かべた。

少しの間、重苦しい空気が流れた。

そして、その空気を破って、彼は口をあけた。





「・・・俺には、千石と会うまでの記憶が全くないんだ・・・。」





その言葉は、3人を驚かせるのに十分だった。

だが、1番驚いていたのは千石だった。





「え? だって、君言ってたじゃない!

 会った時、これから行く所があるって。 あれは嘘だったの?」





「あれは・・・本当だ。

 あの時は確かに行くべき所があった。

 だが、お前と会ってから、徐々に行くべき所が分からなくなっていたんだ。

 そして、シュールに着いた時には、完全に思い出せなくなっていた。

 ・・・今の俺には、お前と会ってからが全てなんだ・・・。」





跡部のその言葉に、誰も声を出せなかった。

そして結局、オーブを完全に入手することも出来ず、さらには跡部という謎を残す結果になってしまった・・・。



                                      ☆



その場にいても何も変わらないということで、4人はもと来た道を戻り地上に出てきた。

その間、誰も口を開かなかった。

地上に出てくると、丁度日の出間近だった。

出てきて、噴水のある広場の辺りまで来た時、4人はある異変に気付いた。





「皆、見て。 噴水の水の量が減ってる・・・。」





菊丸のその言葉に驚き、よく見てみると確かにその通りだった。

噴水から流れ出ている水の量は、3分の1以下にまで減少していた。





「どうして、こんな・・・。」





「それはきっとオーブが無くなったからだと思う。

 やっぱりあれがこの町を豊かにしていたんだ。」





「・・・こんなことをして、本当によかったのかな?」





千石がぽつりと呟いた。





「俺達の任務はオーブを回収すること。 いいも悪いもない。

 結局俺達は、榊様の言う通りに働くしかないんだ。

 自分に力がないから・・・。」





伊武の言葉が、妙に心に響いた・・・。



                                        ☆



その後、4人は別れた。

跡部と千石。 伊武と菊丸という2つに。

そしてなんとか入手することができたオーブの欠片は、話し合いのすえ、千石が持つことになった。





「・・・今日起こった跡部君に関することは一切口外禁止だからね。」





「分かってる。 言わないよ。 ・・・オーブ、任せたよ。」





「大丈夫だよ。 安心して。」





2人はそう言葉を交わすと、互いに待っている相方のほうへと走っていった。

オーブの欠片は一体どこにあるのだろう?

跡部の正体は?

いくつかの謎を残し、彼らはこの町を去った・・・。



第二章、完結









【あとがき】

 終わった! 第二章!!

 なんか一章よりかなり短いですが勘弁してください。

 二章は跡部と千石ばっかでしたね。

 まあ、前の章で出番少なかったからいいか。(いいのか?)

 三章のネタはもうほとんど出来ているので、早めに書きます。

 次もきっと跡部達が出張るんでしょうね。



05.8.5




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