俺はこの人に何があってもついていく。
もう2度と、失うようなことはしない。
Symphony of destiny 第三章・1
キィエの森で出会った忍足と長太郎。
長太郎は前の主に5年前、理由も告げられずにこの森で突如契約を解除され、封印された。
そして、目覚めてみたら自分の前には忍足と名乗る見知らぬ人物がいた。
自分にはもう主はいない・・・。
そう思い、長太郎は忍足を新しい主とするかどうか、かなり悩んだ。
彼を主とするのを決意したのは、魔物に襲われてから。
一緒に戦い、彼にならついていってもいいと思った。
そして、新しく契約を交わし、長太郎は正式に忍足のアーティシャルとなった・・・。
☆
「さて、と。 長太郎、これからどーするん?」
池の所で、忍足は長太郎にそう問いかけた。
あれから数時間。
魔物を倒すために使った体力を回復し終わったくらいに、忍足は言った。
「そうですね・・・。
まあ、俺がどこに行くとか言える立場じゃないんですけど、榊様の所に1度行ったほうがいいと思うんです。」
「榊、ってこの国の最高権力者やったよな?」
「そうです。 王都に属する騎士とアーティシャルは、ほとんどが榊様の命で動いてます。
なので、何かあった場合は大抵報告に行くんです。
まあ、千石さんのように面倒臭いって行かない人もいるんですけど・・・。
俺は、主が変わったんで、行ったほうがいいと思うんですけど。」
遠慮気味に長太郎がそう言うと、忍足はにっこりと微笑み、言った。
「ええよ。 行こか。
せやけど、俺はその人に会わんから承知しといてくれな。
いちいち説明するん面倒やからな。」
「はい。 分かりました。
大丈夫です。 その辺の説明はまかせてください。」
そう言って長太郎はさわやかに笑った。
その様子を見るに、今までに何度かやったようだ。
(前の主って、一体何やらかしたんやろなあ?)
そう疑問に思わずにいられなかった忍足であった。
☆
その後、2人は森を出た。 出ると忍足はピーッと指を鳴らした。
すると、自分達の所に、一頭の動物が走ってきた。
「? あれ? マスター、この動物って馬じゃないですよね?」
「ほう。 よく気付いたなあ。
そうや。 見た目は馬やけど、こいつは馬やない。 れっきとした魔物や。」
そう言うと、忍足はその動物の首をなでた。
「マスター、いいですか? あの、何で魔物がこんなになついているんですか?
普通、魔物って人を襲いますよね?」
「ああ、普通はな。 せやけど、中にはこいつのように、人間になつく奴もいる。
ちなみにこいつの名前は『景』ってゆーんやで。
・・・たぶん知らんと思うけど、この世界にはな、魔物と心を通わせれることが出来る奴がいるんや。
こいつとはそこで出会った。 なんか気がおうてな。
で、それからずっと一緒に旅しとるんや。」
「そうなんですか。 マスター、よければ俺にマスターのこと、教えてください。
知りたいんです。 マスターのこと。」
そう言う長太郎の目は真剣だった。
「ええよ。 まだ言ってへんけど、俺な、ちょっと普通じゃないんや。
長くなるけど、少しずつ話してやるさかいな。」
忍足がそう言うと、長太郎はにこっと微笑んだ。
景という名の魔物も、うれしそうだった。
☆
その後、2人は景に乗り王都へと向かった。
景は普通の馬よりも少しだけ大きかったので、2人は楽に乗れることができた。
しかし、その足は早く、普通の馬では2週間以上かかる道のりを、1週間で走ってしまった。
王都の入口から少し離れた所に着くと、2人は景から降り、歩いて中に入っていった。
「景はどうするんですか?」
「ああ、あいつは見つかるとヤバイから隠れとるんや。
んで、俺がこの前みたく呼ぶと出てくるんや。」
それに長太郎は納得した。
そして、中に入り城に比較的近い所まで来ると、忍足は喫茶店へと入っていった。
忍足と別れた長太郎は、5年ぶりに城の中へと入っていった・・・。
【あとがき】
ようやく始まりました。 第三章。
本当は跡部と千石の話になる予定だったんですが、そろそろ忍足達も出さなきゃなあと思いまして。
なんか、変な方向になってしまった気がする・・・。
ちなみに今回出てきた魔物の景。 ・・・あの名前、分かりますよね?
のちのち書く予定ですんで、待ってていただけるとうれしいです。
次回はこの話が続くか跡部達に変わるか分かりません。
私の気分でどっちかになります。
まあ、80パーセントくらいの確立でこれの続きですけど。
05.8.21
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