一体どこから探そうか?

とりあえずマスターに聞いてみよう。






Symphony of destiny  第三章・9





榊の部屋を出た長太郎は、城の外に向かって歩いていた。

その途中、彼は討伐隊を仕切っている人物、竜崎スミレと大石に会った。





「あっ、スミレ様お久しぶりです。」





「おお、またずいぶんと懐かしい顔だね。 大石から話は聞いてるよ。

 またずいぶんと大変だったね。」





「ええ。 でも、いい人と巡り会えましたから。」





「そうか。 その言葉を直接聴けてよかったよ。

 また、何かあったらいつでもおいで。 私でよかったら力になるよ。」





「ありがとうございます。」





そう長太郎は言って、軽く頭を下げた。

そして、竜崎が歩き始めると、傍にいた大石も後を付いていったのだが、長太郎の傍に来ると、





「スミレ様は君をすごく気に入ってるんだ。 素直でいいって。

 だから、本当に何かあったらいつでも来ていいからね。 僕も出来ることがあったら力になるから。」





そう言って、彼はその場を去った。

長太郎はその後姿に向かって軽く頭を下げた。

彼は気付いていないが、こういう所が人に好印象を与えるのだ。

長太郎は、2人の温かい心に感謝しながら、城を後にした。



                                      ☆



城を出た長太郎は、まっすぐ忍足の待っている喫茶店へと向かった。

中に入ると、忍足はすぐに長太郎に気付いた。





「お、来た来た。 どうやった?」





忍足は手に持っていたコーヒーカップを置き、長太郎に座るように促しながらそう言った。

長太郎は忍足の前に座り、その問いに答えた。





「なんとかなりましたよ。 榊様は特に何も聞かないって言いましたから。

 それで、次の任務はまだ来ていないんです。 でも、たぶん・・・。」





「あ! いたいた!!」





長太郎が言葉を発しようとしたその時、いきなり彼らを呼ぶ声が。





「東方さん!」





長太郎はその人物を見るとそう言った。 どうやら知り合いのようだ。





「? 長太郎、一体誰や?」





「あっ、この方は連絡隊の1人の東方さんです。

 前のマスターの時に、よくお世話になったんです。」





長太郎がそう言って彼を紹介すると、東方と呼ばれた男は軽く頭を下げた。





「どうも、連絡隊の東方雅美です。 長太郎君の新しい主ですね? 

 噂は聞いています。 たぶんこれから会うことも多くなると思うので、よろしくお願いしますね。」





「ああ、よろしくな。 おっと、名前まだ言ってへんかったよな。

 俺は忍足侑士や。 覚えといてくれ。」





「はい、分かりました。 よろしくお願いします。

 で、早速なんですが任務です。 他の騎士達と同じなんですが、オーブを探してください。

 見つけたら榊様の所へ。」





「分かった。 じゃあ、見つけたら持って行くさかい、おおきにな。」





「いえ、では俺はまだ任務があるからここで失礼しますね。

 じゃ、またどこかで。」





そう言うと、東方は店を出た。

そして出た瞬間には、彼の気配はすでに消え去っていた。





「さて、と。 じゃあ、早速行くか。」





そう言って忍足は席を立った。

その後ろを付いていきながら長太郎は言った。





「マスター、オーブを探す前に1度情報屋に行ったほうがいいかもしれません。

 あそこでは欲しい情報をくれますからきっとオーブのことも分かるかもしれません。」





「そうやな。 情報もないまま闇雲に探し回ってもらちがあかんからな。

 お前の言う通りや。 じゃ、早速そこに向かおか。」





「はい、マスター。」





そう言葉をかわしながら、2人は町も出た。

そして、少し離れた所に来ると忍足は以前と同じように指を鳴らした。

するとすぐに景が現れ、2人はそれに乗って情報屋のある町、クーヘルに向かった・・・。









【あとがき】

さて、跡部達の話もひと段落ついたので忍足達を出しました。

彼らはやっと王都を出ましたよ。

なんか、跡部達がやたら多いんで他の人達出番少ないなあ(汗)

あっ、今回初めて東方が出てきました。

本当はこの人、南とペアなんです。

でも、今回は1人での登場でした。

南が出てくるのはまだ少し先だと思いますけど、出てきますから。

で、次はたぶんこの話の続きではないです。

そして、これもたぶんですがこの章はあと少しで終了です。

・・・がんばって書こう。



05.12.10



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