それは一体、どういうこと・・・?





Symphony of destiny  第四章・5





「俺が王都を離反した理由は・・・この世界を守るためだ。」





橘のその言葉は、2人にとって以外だった。

それもそうだろう。 世界を守るためと言われても、実感がわかない。





「世界を守るため? それは、一体どういう・・・?」





「そのままの意味だ。 ・・・ひとつ聞きたいことがある。

 お前達は何で王都がオーブを集めているか知っているか?」





橘のその言葉に跡部は首をかしげたが、千石はその問いに答えた。





「いえ、よくは知らないです。 とりあえず集めろと命令されたから集めています。

 今まで詳しい理由は聞いたことがありません。 橘さんは知っているんですか?」





そう千石が言うと、橘は軽く頷き話し始めた。





「この世界には現在8種類のオーブがあるというのは知っているな?

 光、闇、火、水、雷、風、土、無。 この8つだ。 だが、実はもう1種類あるんだ。」





「え? それは、一体何なんですか?」





「それは・・・『時』だ。」





「時・・・?」





「そうだ、『時』だ。 これの存在を知っているのはほんの少しだろう。

 俺も、王都を離反してここに来るまでは知らなかった。

 で、オーブを集めている理由だったな。 それはこの時のオーブを手に入れ、魔物を世界から完全に消し去るためだ。」





千石はその言葉を聞いて目を見開いた。 魔物をこの世界から消し去る。

そんなことが出来るなんて信じられなかった。





「そんなすごい力を持っているんですか? そのオーブは。

 でも、だったら最初から時だけを探せばいいことでしょう? 何で他のまで。」





「ああ、持っていると聞く。 このことについてあまり詳しく知っているわけではないが。

 だが、『時』だけを探せばいいというわけじゃないんだ。 まあ、このことはこれから来る2人に聞いたほうがいいだろう。

 とにかく、王都が探しているこの『時』はものすごく危険な物なんだ。 だから、決して王都の手に渡してはいけない。

 このことを知ったから、俺は王都を離反したんだ。

 まあ、離反した理由はもう1つあるがな。」





橘がこう言うと、今までずっと黙っていた跡部が口を開いた。





「もう1つの理由って何だよ?」





「もう1つの理由は杏のためだ。」





「杏って、橘さんの妹さんでしたよね? 何でですか?」





「・・・俺は騎士になってからというもの、杏にずっと負担ばかりかけてきた。

 1度任務に行くと、最低でも終日は戻ってこれない。 その間、あいつはずっと1人で俺を待っていたんだ。

 両親を幼い頃に魔物によってなくした俺達には、お互いしかいなかった。

 だが、俺はあいつのそばにいてやれない。 そんな生活が嫌になったんだ。 だから、離反する決意をした。

 まあ、1番の理由は世界よりも杏なんだがな。」





橘はそう言うと、口元にうっすらと笑みをうかべた。

この時、千石と跡部が共通で思ったことは・・・。





((こいつシスコンだ!))





だったり。 と、その時!





バンッ!!





急に橘が立ち上がった。

それに千石と跡部が驚くと、彼は2人に向かって言った。





「・・・来た。」





その言葉の意味が分からなくて首をかしげる2人。

だが、次の瞬間にはその顔は驚きで染まった。





「10、20、30・・・。 もっといる?! この数は一体何?!」





「おいおい、何が起こってやがんだ?

 いくら俺様でもこんな数は一度に相手したことはないぞ?」





「落ち着け。」





大量の敵の気配を察知し、軽く慌てる2人を橘は諭した。 

彼は冷静に2人に説明し始めた。





「さっきアキラが言ったことを覚えているか? 『大掛かりな襲撃が予想される』と言ったことを。

 あれはこのことを言っているんだ。 この、大量の魔物の襲撃のことを。」





「そうだったんですか。

 でも、何で? いくら魔物が人を襲うといってもこの数はあまりにも異常ですよ。」





「この谷には、魔物が狙うものがあるんだ。 それを狙っての襲撃だろう。」





「その狙う物って・・・まさか・・・。」





千石がそう言うと、橘は2人に背を向け扉に向かった。





「そのことはまたあとだ。 俺は今から魔物を殲滅しに行く。

 この谷は、俺にとって守らなければいけない大切なものだからな。 お前達はどうする?」





橘にそう問われると、2人は顔を見合わせ、軽く頷いた。





「手伝います。 俺達だって戦えますから。」





「手伝ってやろーじゃねーの。 ふん、おもしろいことになってきたな。」





2人がそう言うと、橘は口元に再び笑みを浮かべた。





「じゃあ、手伝ってもらおう。

 ・・・そろそろかなり近づいてきたな。 村の入口ですでにアキラが待っている。 行くぞ!!」





「はい!」





「ああ!」





そう声をかけると、3人は橘の家を出た。

すると、家の外には村人を谷の奥に誘導する杏の姿が。





「杏!」





「兄さん!!」





橘がそう呼ぶと、杏も気付き傍に寄ってきた。





「兄さん、今回はまたかなり大掛かりね。」





「ああ。 だが、どうせ雑魚ばかりだろう。

 しかし念のために今回はいつもよりも奥に避難してくれ。 まあ、大丈夫だろうがな。

 アキラがあの2人を呼んだし、あいつらも手伝ってくれると言ってくれたしな。」





橘がそう言うと、杏は千石と跡部の傍に小走りで近寄ってきた。





「ごめんなさいね。 巻き込んでしまって。

 でも、よろしくお願いします。」





「こんなかわいい子のためだったら俺がんばるよ〜。」





「くすっ。 本当にありがとう。 でも、怪我だけはしないでね。」





「分かってるって。 さあ、時間もあまりないみたいだから、早く行って。」





「はい。 じゃあ、皆気をつけてね!」





そう言うと、杏は村人達と一緒に谷の奥に向かった。

その後姿を見ながら、3人は村の入口へと走った-----。









【あとがき】

最近こればっかの更新だなあ(汗)

ちょっと新事実が発覚しました。 オーブは実は9種類あるんです!

この辺の詳しいことはまた。

で、寝ぼけながら中間くらいを書いてたらなんか橘さんがシスコンに(汗)

この辺は笑ってすませてください。

本当は『あの2人』を出す予定だったんですけど、次に持ち越し。

くう、早く出したい〜。



06.1.11



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