今回のこの数はさすがに異常だね。
でも僕達の前では無意味だけど。
Symphony of destiny 第四章・7
魔物にやられそうになった神尾を突然覆った強い風。
そのあとに現れたのは、2人の『不二周助』と、『佐伯虎次郎』と名乗る人物達だった。
「さて、とっとと倒してしまおうか。」
そう言って不二は剣をすらりと抜いた。
すると、同じく剣を抜いた佐伯の方を向いてこう言った。
「虎次郎。 君はここでアキラ君の手伝いをしてあげて。
あっちのほうは僕達だけで大丈夫だから。」
「分かった。 気をつけてね。」
佐伯がそう言うと、不二は軽く微笑み千石のほうを向いた。
「さて、千石君行こうか。 さすがに2人じゃあの数は多すぎるから。
あっ、あと敬語は使わなくていいよ。」
「分かった。 じゃあ使わないよ。 あっ、俺のことは呼び捨てで全然いいから。
で、佐伯君はあそこでいいの?」
「うん。 あそこでいいんだ。 アキラ君の手伝いは彼にしか出来ないからね。」
「それは、一体どういう・・・?」
「すぐに分かるさ。 さあ、本当に行くよ!」
不二はそう言って地を蹴り、千石もそのあとを追った。
☆
神尾の傍に残った佐伯は、2人が去ったあとすぐに手を構えた。
彼の場合は神尾とは逆で、まず右手を自分の胸の前に構え左手をばっと前に突き出した。
そしてその手で円を描き、両手をその中心に突き出して唱えた。
『風よ! 我に集え! 我らを覆い、我らを守る強固なる盾となれ!
ディルフリード!!』
佐伯がそう唱えた瞬間、再び強い風がふき、神尾の作った結界をさらに覆った。
「よし、これでもう大丈夫だね。」
「ありがとな。 来てくれてホント助かったよ。」
「ちょっと遅れたけどね。 でも、一体どうしたの?
こんなに苦戦するなんて。 特に結界の威力は昔に比べて目に見えて落ちてるよ。」
佐伯がそう言うと、神尾は深い溜め息をついた。
そして、自分の両手を見つめながら答えた。
「・・・どうやらこの体が限界に近づいてきているみたいなんだ。
まあ、それは6年前のあの時から分かってたことなんだけど。 もともと、俺はそんなに能力が優れてたほうじゃなかったから。
それなのに無理に使いすぎてたのが寿命を縮める結果になったみたい。」
「このこと、橘は知ってるの・・・?」
「ああ、知ってる。 だから、あんまり働くなって言われたことがあるんだ。
でも、俺の生きがいは働いてマスターの役に立つこと。 だから俺は最後まで、この作り物の命が消えるまで戦うって決めたんだ。」
そう言う神尾の顔は誇らしげだった。
「あと何年もつか分からないけど、俺はそうやって生きてく。
佐伯、君も自分の道を探しなよ。 もう2度と離れることがないように。」
「うん。 分かってる。」
そう言って、佐伯は微笑んだ。
・・・ちなみに、こう2人が話している時も戦いは進んでいた。 この2人は、実は近寄ってきた魔物達を倒しながら話していたのだった。
一方、他の面々はというと・・・。
「だー!! いい加減ウザクなってきたっ!!」
もうすでにきれているのはやっぱり跡部。
雑魚ばかりなのに数だけいるのがどうやらお気に召さないらしい。
それでも手だけは止めることなく魔物達を切り刻んでいっていた。 と、その時。
「跡部君! こっちこっち!!」
いきなり自分を呼ぶ声が。 呼んだのは千石だった。
彼は、跡部から50メートルほど離れた所で手を振って跡部を呼んでいた。
その傍には不二と、いつの間に来たのか橘もいた。
「ったく、何だよっ?!」
そう言いながらも跡部は彼らの元へ走った。
途中邪魔な魔物は1匹残らず切り倒して進んで行った。
「跡部君お疲れ!」
やっと辿り着いた先に待っていたのは、千石の憎たらしいくらいの笑顔。
殴り倒してやろうか?と思ったほどである。
「で、一体何だ?」
「不二が到着したんでな。 この魔物達を一気に消す。」
「は?」
橘が言ったその言葉に跡部は呆然とした。
そんなことが出来るんなら俺様の今までの苦労は一体何だったんだ? 跡部はそう心の中で思った。
「消すって・・・一体どうやるんだよ?」
一応そう尋ねると、今までしゃがんで何かをやっていた不二が顔を上げた。
「まあ、見てれば分かるよ。」
そう言って彼は立ち上がった。
その足元には、何やら奇妙なものが描かれていた-----。
【あとがき】
不二とサエさん大活躍?な話でした。
私の中でこの2人は強いって設定になってるんで。
なんか、神尾が予想外のことになってしまっている(泣)
ホントはこんなこと言わせる予定じゃ全然なかったんだけどな。
まあ、いいやってことにさせてください(えっ?!)
05.1.26
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