初めて見るエレメント。

これが、この人の力・・・。






Symphony of destiny  第四章・8





不二の足元に描かれていた奇妙な模様。

それは、どこか魔法陣のような雰囲気を漂わせていた。





「よし、跡部も来たからもういいな。 不二、頼む。」





「分かった。」





そう答えた不二は、その自分が描いた模様の上に立った。

そして・・・。





『光を覆い隠す漆黒の闇よ! 我の前にその姿を示せ!!』





彼が唱えだすと、4人の周りを、黒い霧のようなものが包みこみ始めた。

その霧はだんだんと範囲を広げ、谷の魔物がいるところだけをすっぽりと覆い隠した。





『全てを覆い隠す闇よ、我の前に立ちふさがる邪悪なるものを覆え!

 全てを飲み込む闇よ、我の指し示しもの達をはるかなる闇の彼方へ消し去れ!!

 レクイコード!!』





そう唱えた瞬間、そこにいたすべての魔物を覆っていた闇が急速に収縮していった。

そして、その闇がなくなった場所には、もう魔物はいなかった。

収縮し続けた闇は、直径1メートルほどの球くらいの大きさになったところでパンとはじけて消え去った。

霧の消え去った谷には、もう魔物は1匹も残ってはいなかった・・・。





「すごい・・・。」





魔物がすべて消え去って不二がふうと息をはいた時、千石がそう呟いた。

それもそうだろう。 彼は今、自分の目の前で数百匹の魔物を1度に消し去ったのだから。





「ご苦労だったな。 不二。 だが、お陰で助かった。」





橘はそう彼に声をかけた。





「別にお礼を言われるほどのことじゃないよ。 僕も久しぶりに技を使いたかったからね。

 ずっと使わないとさすがになまっちゃうから。」





不二はそう言って笑った。

と、彼は何か聞きたそうにしている千石に気付いた。





「どうしたの? 千石。」





「いやー、とにかくすごいと思ってさ。 こんな技、初めてみたよ。

 ってか、君の持ってるエレメント自体始めて見た。 かなり珍しいよね。 『闇』のエレメントって。」





「そうだね。 珍しいだろうね。 僕も自分以外にこのエレメントの人は知らないし。」





「そんなに珍しいものなのか?」





跡部が不思議そうに聞く。





「うん、珍しいよ。 俺は王都に所属してるから知り合いがかなりいるけど、闇のエレメントを持っている人なんていないんもん。

 でも、珍しいのは闇だけじゃないよ。 『無』も珍しいかな。 でも、闇と同じで見たことがないのは・・・『光』かな。」





「確かに珍しいね。 でも、世界のどこかにはきっといると思うよ。」





「そうだね。 いつか会ってみたいなあ。」





そう千石は言ってう〜んと伸びをした。 そしてその後4人は歩いて村の入口に向かった。



                                          ☆



「あっ、お疲れ様です。」





入口に着くと、神尾がそう言い、橘に近寄って行った。





「お前もご苦労だったな。 ・・・体の具合はどうだ?」





「大丈夫です。 佐伯さんに手伝ってもらいましたから。

 そこまで消耗はしていません。 マスターも大丈夫でしたか?」





「ああ、大丈夫だ。 不二のおかげでかなり楽をさせてもらった。

 杏達はそろそろ戻ってきそうか?」





「ええ、もう戻ってくる頃だろうと思いますよ。」





神尾がそう言ったその時。





「兄さん、お疲れ様。 無事でよかったわ。」





そう言って杏が橘の傍に走り寄ってきた。





「お前も無事でよかった。 他の皆はどうした?」





「皆も無事よ。 もう戻ってくるわ。」





杏はそう言って後ろを振り返った。 そこには隠れていた村人達が戻ってきている所だった。

それを見ていた橘が、ん?と言った。





「兄さん、どうしたの?」





「亮はどうした? さっきいただろう?」





「ああ、彼は語りの民の様子を見てくるって。 あ! そうだ忘れていたわ。

 兄さん、彼らからの伝言よ。 魔物退治が終わったら跡部さん達と一緒に来てくれだって。

 何か話したいことがあるみたいよ。」





「そうか。 分かった。 ありがとな。

 おい、今の話聞いたな? お前達を呼んでる。 行くぞ。」





橘にいきなりそう言われ、話についていけない2人。





「行くってどこに?」





「ああ、すまない。 話していなかったな。 この谷の奥最奥には人がまだいるんだ。

 さっきから何度か聞いている語りの民と呼ばれている者達だ。

 彼らはこの世界のことを全て知っている。 お前達が知らないこともたくさん。

 彼らが呼んでいるということは知らなければいけないことがあるということだ。

 とにかく、そこに行こう。 話はそのあとだ。」





「何か、よくわかんないけど。 分かった。 行くよ。」





「どうせ行くしかないんだろう? 行ってやろーじゃねーか。」





そう言う2人。





「僕達も行くよ。 かなり興味深いからね。」





不二もそう言う。

こうして、6人は谷の最奥にあるという語りの民の住む所へと向かった-----。









【あとがき】

なんか、よく分からない話になってしまった(汗)

どうも話のつなぎがうまく書けません。

・・・努力しよう。



06.2.4



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