君が知らないこと、君が忘れてること、みんな知ってるよ。

でも、まだ知らなくてもいいこともたくさんある-----。






Symphony of destiny  第四章・9





橘に案内され、5人は谷の最奥へと向かった。

しばらく進むと、谷は急に行き止まりになった。 その、少し開けたその場所。

そこには塔のようなものがそびえたっていた。 その前には、1人の人物がいた。





「結構来るの遅かったですね。」





その人物はそう言って、風になびく長い黒髪を少し後ろにやった。





「待たせてすまなかったな、亮。 4人は中か?」





「ええ、1番上にいます。 すぐに行ってください。」





「そうか、分かった。」





そう話している2人の後ろでは、千石が不二達に質問をしていた。





「ねえねえ、あの人は?」





「ああ、彼の名前は『木更津亮』。 僕達と同じシルフィードに住んでいるんだ。

 ちなみに彼は双子でね。 もう1人は今は谷にいないんだけど、すごく仲がいいんだよ。」





「へえ〜。 双子かあ。 ・・・兄弟っていいなあ。」





千石はそう呟いた。

その後すぐ、7人は塔の最上部へと向かった。

そこには、4人の人物が7人を待っていた。





「やっと来たねえ。 待っていたよ。」





そう言ったのは、老人だった。 彼はにこりと笑い、7人を歓迎した。

最上部には、その老人の他にもう3人いた。

全員は互いに知り合いらしく、声を掛け合っていた。





「ところで僕達は一体何のために呼ばれたの?

 ってか、あなた達は?」





千石がそう尋ねる。 その問いに、1人の男が答えた。





「そういえば紹介がまだだったね。 俺は『黒羽春風』。

 で、こっちにいるのが『樹希彦』と、『天根ヒカル』。 あと、『オジイ』。」





そう紹介した。 それに千石と跡部も名を名乗った。

一通り自己紹介が終わった所で、オジイと呼ばれた人物が口を開いた。

オジイは、その名の通りとても年をとっている老人なのだが、正確な年齢はわからなかった。





「急に呼び出してすまなかったねえ。 君達に知っておいてもらいたいことがあったんだよ。

 君達がここに来ることは分かっていた。 さあて、話すから座んなさい。」





オジイにそう言われ、全員はそれぞれいろんな所に座った。

そして、オジイは語り出した-----。



                                     ☆



場所は変わり、ここは情報屋のある街クーヘル。

真田達から幸村離反の話を聞いた忍足と長太郎は再び情報屋に戻ってきた。

合言葉を言って中に入ると、そこには金の髪をした少年がいた。





「こんにちわ。 あれ、今日は寝てないんですね。」





「うん。 君達が来るの分かってたからね。

 あ、そっちにいるのは噂の新しい主だね。 始めまして。 俺は『芥川滋郎』。 よろしくね。」





そう言って、少年はにこりと笑った。





「どうも。 俺は忍足侑士や。 よろしくな。

 で、ここにはちょっと聞きたいことがあって来たんやけど-----。」





「オーブについてでしょ? ちゃんと分かってるよ。 教えてあげる。

 正確な情報じゃないんだけど、チョタなら知ってるかな? リンドブルーって町。

 あそこに水があるかもって情報が入ったんだ。 でも、かけらだけどね。」





「知ってますよ。 その町。 綺麗な町ですよね。 そこにオーブが・・・。

 でも、かけらって一体どういう意味ですか?」





「あそこには、本当に水のオーブがあったんだ。 で、それを他の騎士が取りに行ったんだけど、その時にちょっとひと騒動あってね。

 竜がいたらしいんだけど、その時にオーブ、砕かれちゃったんだ。

 その場に残ってたかけらはその騎士が持っていったんだ。 でも、最近そこにまだ残ってるって情報が入ったんだ。

 それはまだ確かめてない。 それが今言ったかけらがあるかもって話。」





ジローがそう話し終わると、2人は少し驚いた顔をした。

それもそうだろう。 オーブが砕けていたなんて話を聞いたのだから。





「砕けたって・・・そんなこともあるんやな。 初めて知ったわ。」





「俺も初めて聞きましたよ。 これはまた探すのが大変そうですね。」





「そうやな。 でも、探すしかあらへんからな。

 とりあえず、そこ行ってみるか。 他に行くとこあらへんし。」





「そうですね。 行ってみましょう。」





そう話し、2人は行くことにした。

そしてジローに礼を言い、店を出ようとした時。





「ちょっと待って。」





と、呼び止められた。





「なんや?」





「一応念のために忠告しとくよ。 そこの町に行ったら、もう後戻りは出来ないから。

  ・・・引き止めてごめん。 これだけ言いたかったんだ。」





「なんかよく意味は分からんが・・・。 忠告ありがとな。

 じゃ、俺らはもう行くで。」





そう言って、2人は店を出ていった。





「・・・これでよかった?」





誰もいなくなった店の中で、ジローはそう言った。

と、その瞬間、窓の傍の光の中から1人のフードをかぶった人物が現れた。





「ええ、ありがとうございました。 これで彼のほうもいいでしょう。

 この後のことはもう頼んであるからいいとしてと。 君達にも迷惑かけます。」





「別にいいよ。 ただ、情報屋として信用にかかわることを少ししてるのがちょっとあれだけどね。

 まあ、別にばれないでしょ。」





「あなた達がいいのならこっちも気にしないのですが。

 とにかく、いつもありがとうございます。 あと、私からも忠告しておきますね。

 『闇』に気をつけてください。 最近どうも変に闇が増えていっています。

 耐性のある私達ならいいんですが、あなた達は危険です。 くれぐれも気をつけてください。」





「分かった。 わざわざありがと。」





「いえいえ。 では、私はこれで失礼しますよ。」





そう言って、フードをかぶった人物は光に解けるようにその場から消え去った。

店の中は、ジローだけが残されていた-----。









【あとがき】

今回は珍しく1話の中に2つの場面が入りましたよ。

まあ、今回また新しいキャラが続々と。 そして、フードの人物。

彼は前にも1回出てきましたね。 もう誰か分かりましたか?

口調があまりにも分かりやすいんですよ。

まあ、書きやすくていいんですけどね。 この章も早く終わらせないとなあ。



06.2.7



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