あー、疲れた。 でも、まだ休めないんだよね。
Symphony of destiny 第四章・11
榊から命を受け、パフェナという町で魔物と戦った手塚とリョーマはそに比較的近い村を回って情報を集めていた。
集めている情報は、パフェナにあった書物を盗んだ者のことについて。
しかし、どれだけ探しても手がかりすらつかめなかった。
「マスター、これだけ探してもまったく情報がないなんて。
相手は一体何者なんでしょうね?」
そう、リョーマは手塚に言った。
2人は今、次の村に向かって移動をしている最中だった。
「分からん。 しかし、只者ではなさそうだ。
・・・このまま探しても見つかる確立はかなり少ないかもな。」
「でしょうね。 どうします? 1回王都に戻ったほうがいいかもしれませんよ。」
リョーマのその提案に、手塚がうーんと考えていたその時。
「いたいた! やっと見つけたよ。」
そう言っていきなり2人の前に現れた人物が。
「東方か。 一体何の用だ?」
そう問う手塚。 その彼に向かって、東方と呼ばれた人物はこう言った。
「榊様からのご命令だ。 今すぐ王都に戻って来いだとさ。
お前達が探している間に、桃城と日吉がまったく別の場所で何か情報を手に入れたらしい。
その話もしたいんだと。」
「あの2人・・・。 くっそー、やられた。」
「そうか、分かった。 では今すぐ戻ろう。 東方、いつもすまんな。
今回は探しただろう?」
「まあな。 お前達はいつも気配を残さないから余計大変だったよ。
でも気にするな。 これが俺の仕事だ。 ・・・おっと、もう時間がない。 まだ仕事があるんだ。 先に失礼するよ。」
「ああ、またな。」
そう手塚が言うと、東方はじゃあなと言って、その場から消え去った。
「さて、王都に戻るぞ。 一気に飛べるか?」
「たぶん大丈夫です。 最近はそこまで力を使ってなかったから。
でも、榊様もひどいですよね。 もっと早く連絡くれればこんなに探し回ることもなかったのに。」
「そう言うな。 行くぞ。」
「ういーっす。 ・・・『我らを導け! カレントムーブ!!』」
リョーマがそう唱えると、2人の周りを光が覆った。
そして光が消えた時、2人の姿はどこにもなかった-----。
☆
「・・・今、手塚さんとリョーマ君がこちらに向かいました。
あと数十分もしたらここにやってきます。」
光の燦燦と差し込む部屋で、1人の少年がそう言う。
その目は不思議な色に輝き、自分のいる場所ではなく、どこか別の場所を見ているようだった。
「そうか。 では、次は千石達がどこにいるのか見てくれ。」
「はい・・・。」
そう言って、少年はまた黙ってどこかを見つめる。
たっぷり時間をかけて眺めたあと、ふっと目の色が元の黒に戻った。
「どうだ?」
「千石さん達は今、シルフィードにいます。 周りに何人もの人がいました。
その中には橘さんと思われる人もいました。 他には老人も一緒でした。 雰囲気的には、何かを話しているようです。
あと、千石さんはオーブを持っていました。」
「何だと?」
「たぶん雷と水だと思われます。 水のほうはずいぶんと弱い光でしたが。
しかし、あれは間違いなくオーブです。」
「そうか、ご苦労だったな。 ・・・もう少しで手塚達が来る。
下がっていていいぞ、太一。」
「はい、榊様・・・。」
そう言われ、太一と呼ばれた少年は部屋から出ていった。
「・・・だいぶあの子も言う事を聞くようになりましたねえ。」
そう言って、太一が出て行ったのとは別に、部屋の奥にある扉から出てきたのは、初老の男。
その顔には、ニマニマとした笑みを浮かべてた。
「判田か。 ああ、序序に食われているからな。
もう少しで完璧なんだが、どうやらまだ亜久津のことが残っているらしい。」
「あの子の亜久津君に対する忠義心はかなりのものですからね。
で、当の本人はおとなしくしてるんですか?」
判田と呼ばれた男が尋ねる。
「ああ、今の所はな。 だが、いつまで持つか。
あいつの力は強い。 早くあいつも食わせてしまわなくては。 私の計画に狂いが出る前にな。
・・・ところで、あの2人はもう使えるのか?」
「ええ、使えますよ。 調整もほとんど済んでいます。
もう普通に私達の言う事を聞きますよ。 ただ少し不安定な部分があります。
無理矢理なので当然といえば当然ですが。 何かがきっかけで元に戻ったり、最悪の場合には死ぬ危険性もあります。」
「ああ、それでもかまわない。 どうせただの捨て駒だ。
・・・さて、手塚達が来る前に少しでも食わせておくか。」
そう言って、榊は目を軽く閉じる。
それを見ると、判田はその場を避けるように部屋から出て行った。
部屋の中には、重苦しい空気が漂い始めていた-----。
☆
「くっそ、外れねえ。」
そう呻く男。
・・・ここはどうやら牢獄のようだ。 そこに、1人の男がとらわれていた。
その両手は石壁鎖で繋がれていて、あまり身動きは出来なかった。
しかし、その眼光は鋭く、まだ脱出をあきらめていないようだった。
「このままやられっぱなしでたまるか。 ・・・太一、待ってろよ。 必ず助けに行くからな・・・。」
そう、男は暗闇に向かって1人誓った-----。
【あとがき】
えー、前回のよく分からない展開からまた場面を変えました。
この前の続きだと思った方すいません(汗)
本当はあそこまで書く予定はまったくなかったんですけど、なんかノリで書いてしまった。
あっ、言うの忘れるとこだった。
無駄に長かった第四章は、次回をもって終了です。
ここまでホント長かった・・・。
06.2.18
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