どうせただの捨て駒、か・・・。

この言葉を聞いたらあの子は一体どうするのでしょうか・・・?






Symphony of destiny  第四章・12





「ふう、着いた。」





そう言うリョーマ。

今、2人は手塚の家の地下にある魔法陣の上にいた。

リョーマはここから数百キロ離れた場所から一息でここまで時空転移してきたのだ。

その顔には、さすがに疲労の色が見えた。





「ご苦労だったな。 で、これからどうする?

 俺は今からすぐに城に向かうが、お前はここに残るか?」





「冗談。 俺も一緒に行きますよ。 マスターと一緒にいなきゃ。」





「そうか。 分かった。 じゃあ、着いてこい。 行くぞ。」





「イエス、マスター。」





そう返事をして、リョーマは手塚のあとを追った。



                                      ☆



「これから忙しくなりそうだ・・・。」





そう言いながら廊下を1人歩くのは判田。

彼は榊の部屋から出て自分の部屋に向かっている所だった。





「捨て駒、か・・・。 計画のためとはいえ、あそこまでも切り捨てるとは。

 ・・・あの子達も所詮駒の1つか。 かわいそうな話だ・・・。」





そう呟きながらも彼は歩き、自分の部屋に辿り着く。 そして、中へと入っていった。

彼の部屋の中は昼間なのにカーテンがぴっちりと引かれ、薄暗かった。

その部屋の奥に、入口とは別に扉が1つあった。 その中に、彼は入って行く。

部屋の中には一筋の光もさしていなかった。 代わりにあるのは、人工的な淡い緑色の光。

そこには、榊の部屋の奥にもあったような筒が縦に並んでいくつもあった。

その中には、みな人間と思われるものが入っていた。 それの1つに、彼は近づいていった。





「・・・本当はこの子達にも権利はあったろうに。

 力なんて持っていなければ、こんなことをしなくてもよかっただろうな。

 しかし、私にはこうするしかない。 怨むなら私を怨め。 ・・・すまない・・・。」





そう呟いて、判田はうつむいた。

そんな彼を、淡い緑の光が照らしていた-----。



                                      ☆



手塚の家を出た2人は一路城への道を急いだ。

そして、城にたどり着くとすぐに榊の部屋に向かった。





コンコン





「誰だ?」





「手塚です。 ただ今まいりました。」





「入れ。」





そう言葉を交わして中に入る2人。 そこにはすでに榊が待っていた。





「捜索、ご苦労だったな。」





「いえ。 そういえば桃城達が何か情報を得たそうで。」





「ああ。 そのことなんだが、本当のことを言うとあれはオーブのことについて記したものではない。

 あれは世界で1冊ずつしかない歴史書だ。」





「歴史書?」





榊の予想外の言葉にかすかに眉をひそめる手塚。

リョーマは話を黙って聞いていた。





「ああ、歴史書だ。 だが、それは今から数百年も前に書かれたものだがな。

 丁度いい機会だ。 この際話してやろう。

 お前達が知らない過去の歴史と共にな。」





そう言って、榊は椅子にもう一度深く座りなおした-----。



                                       ☆



「くっそー、しくったあ。」





そう言うのは黒い短髪の男。 彼は1人で頭を抱えていた。





「まさか討伐隊の連中がいたなんて・・・。」





そう唸る。 その様子からどうやら討伐隊と何かあったようだ。





「盗られることはなんとか防いだけど中身見られたからなあ。

 きっとあいつの元にも伝わってる。 うー、このままじゃヤバイことになるよお。

 ・・・まあいいや。 とりあえずこれを持っていかなきゃ。 言い訳はあとでしよ。」





そう言って男は座っていた場所から立ち上がった。

そして何か唱えたかと思うと、彼を光が包んだ。 次の瞬間、光は弾け飛んだ。

その場には、何も残ってはいなかった-----。



第四章、完結





【あとがき】

えー、まあたよくわかんないことになっちゃってます。

最近考えていたらさらに複雑になりました。 もっと分かりやすく書けるように頑張りますので(汗)

さて、これで長かった第四章は完結です。

次の章からは謎がバンバン明らかになっていくのでどうぞお楽しみに。



06.2.24



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