例えあなた達と敵対しても、俺は後悔はしません。

これは、俺が自分で決めた道。

誰にも文句は言わせない!






Symphony of destiny  第六章・3





「・・・暑いですね。」





レイダーツに入り、黙々と歩く2人。 あまりの沈黙に耐えれなくなったのか、長太郎がポツリとそう呟いた。





「ああ、確かにな。 まあ火山やからしょうがないんやけど。

 でもこれはさすがになあ・・・。 前よりもなんか熱うなっとるし。 結界張っててもちいとキツイやろ?」





忍足がそう言う。 それに、長太郎はこくりと頷いた。





「キツイです。 こんなに暑いのなんて体験したことないですよ。」





「そりゃそーやろ。 っつかここは普通の人間が入れるとこちゃうからなあ。 あっ、アーティシャルもやで。

 まあ、ここに来る奴なんて変わっとるとしか言いようがないわ。」





そう言って、忍足は軽く笑った。





「確かにそうですよね。

 ・・・マスター、ここに来てる人って誰なんでしょう? その人達は当然火のオーブを狙っているのでしょうか?」





「・・・そうやと思うよ。 そうでなきゃ、こんな過酷な場所にはきいへんやろ。

 俺が思うに、来とる奴はきっと火のエレメントをもっとる奴や。 でなきゃ、行くことはできひん。 誰かアテあるか?」





忍足にそう問われ、長太郎はうーっと考え込んだ。 そして、口を開いた。





「・・・王都の騎士で俺が知っていて、火のエレメントを持っているのは2人しかいません。

 でも、そのうちの1人は現在どこにいるのか俺は知りません。 もう1人の人も、もっと別のことをしているはずだし・・・。」





そう、長太郎が言うと忍足はそうかと言った。





「じゃあ、誰がおるにおるのか、分からんっちゅーことやな。 まあええ。

 誰であろうとも必ずオーブは手に入れるからな。 長太郎、よろしく頼むな。」





忍足のその言葉に長太郎は、はいと頷いた。



                                                  ☆



「千石!!」





突如現れた仁王と淳の2人に連れられ、どこかに飛んだ跡部。

たどり着いた先は、隠された地シーユ。 屋敷の中に入ると、そこには幸村が立っていた。

彼に連れられ、跡部は千石のいる部屋に向かった。





着いた部屋の中にいたのは、柳生と柳。 そして、ベッドの上で昏々と眠っている千石だった。

彼の体中には包帯が巻かれ、かなりの傷を負っていることが伺えた。





「一体どういうことだ? 説明してもらおうじゃねーか。」





跡部がそう言って、全員に詰め寄る。 それに、柳生が口を開いた。





「まず、先に言っておきましょう。 私達は全員あなた達の味方です。 ですから、そんなに敵視しないでください。

 彼、千石君は榊に殺されそうになっていました。 その理由は、彼が邪魔だったからです。

 私達はそのことを知り、助けに向かいました。 当然、あなたにも敵の手は伸びていた。 それが、あの兵士達です。

 あなたは無傷でよかったですが、千石君は榊によって重症を負わされてしまいました。

 ですが、今はもう命の心配をする必要はありません。 柳君が治療をしてくださいましたから。」





「そうか。 なら礼をいわなきゃな。 助けてくれて、ありがとな。

 俺達が狙われていたのは分かった。 だが、なぜ狙われたんだ? 俺にはさっぱりわからねえ。」





「それについては、千石君が目を覚ましてからにいたしましょう。

 ・・・その時には、全員が揃っているでしょうし。」





最後の柳生の言葉の意味が分からずに、跡部は軽く眉をひそめた。

それを見て、柳生は思う。





(・・・もう少しで、全員が揃う。 こんな気持ちはいつ以来でしょう?

 最も繋がりあった者達が、前とは違う形でも再び同じ場所に揃うなんて・・・。)





そして、さらに思う。

こんな時でなければ、懐かしい話に花を咲かせていたものを、と・・・。



                                                   ☆



忍足と長太郎の2人はさらに山の斜面を登り、あと少しで山頂という所までやってきていた。

と、その時2人は何かの気配に気付いた。





「!! ちっ、もう先に来とったか。」





「気配は・・・2人ですね。 でもこの気配、知っているような・・・?」





「ほんまか? だが、もうためらっとる時間なんてないで。

 ・・・確実に戦闘になる。 死ぬんやないで、長太郎。」





「はい、マスター。 あなたよりも先になんて死にませんよ。」





「ならええ。 よし、行くで!」





そう言って2人は最後の傾斜を上った。

そして、頂上に出るとそこには・・・。





「!! お前さんらやったんか・・・。」





そこにいた人物達に、忍足と長太郎は驚く。





「なぜ、お前達がここにいる?」





そう問い返す、男。

火のオーブを手に持ち立っていたのは、情報屋の前で以前会った3強の2人、真田と赤也だった・・・。



                                                   ☆



「戻ったぞ。」





そう言い、家の中に入る手塚。 するとすぐにリョーマが小走りで出てきた。





「お帰りなさい、マスター。 どうでしたか?」





「また任務だ。 だが、今回はかなり大変なものとなるだろう。

 とりあえず、すぐにまたシルフィードへと向かう。 多分、あそこを殲滅することになるだろう。」





「え・・・?」





「本当だ。 風のオーブを隠していた時点で、反逆の罪になるからな。

 幸い、榊様が援護をつけてくれると言っていた。 俺達の負担も少しは軽くなるだろう。 ・・・ん? どうした?」





話していた手塚は、リョーマが暗い顔をしていたのに気がついた。

彼の言葉に、リョーマはいいえなんでもありません。と言って元の顔に戻したが、内心穏やかではなかった。





(まさか、あそこを本当に殲滅するのか? こんな命令、榊様は1回も出したことはなかったのに。

 それに・・・なんかマスターの様子がおかしい気がする。 前は少数の反逆者の殺害だって反対していたのに・・・。

 いつからだ? いつからマスターが変になってきたんだ? 考えろ、考えるんだ。)





そう考え込んでいた時、手塚が。





「本当にどうした? そんなに考え込んで。 あまり深く考えるな。 榊様の命令が俺達には最優先事項だ。 それを忘れるな。

 ・・・俺は1度部屋に戻る。 今から1時間後に出るぞ。 準備しておけ。」





「はい、マスター。」





手塚のその言葉に、リョーマは返事を返す。

そして手塚は自分の部屋へと消えて行った。 あとには、リョーマが1人残された・・・。



06.8.7



【あとがき】

もう最近話しがごちゃごちゃしてて、どうなっているのか把握できてない部分があります。(マジかよ・・・。)

とりあえず、書き落としはない・・・はずなんですが、どうも自信がありません。

特に、手塚達の辺りなんか。 彼らって結構扱いにくいポジションにいるんですよね。 あっ、この話でですよ。

裏設定とか実はかなり考えてあるんですけど、そのせいで余計書きにくい結果に(汗)

あんなに細かく考えるんじゃなかったー!!



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