俺に挑んでくるたーやるじゃねーか。

さあて、久々に楽しい戦いになりそうだぜ!






Symphy of destiny  第六章・4





「なんで、あなた達がここに・・・?」





長太郎が驚きを隠せずにそう言う。 だが、驚いたのはこちらばかりではなかった。

真田達も少なからず驚いていた。





「それはこっちのセリフだ。 なぜ、お前達がここにいる?」





そう問う真田。 だが、その問いに答えることなく、忍足は言った。





「・・・真田、自分の持っとる火のオーブ。 それを俺達に渡してくれへんか?」





その言葉に、真田の眉間に皺が寄る。





「なに・・・?」





「素直に渡してくれんなら危害は加えたりはせえへん。

 こっちやって穏便にすませたいんや。 どうや? 渡してくれへんか?」





「このオーブは王都が集めている物。 それを、よくも分からぬ奴などに渡せるか!」





真田がそう言うと、忍足は軽く溜め息をついた。





「せやったら、俺達は力づくでも奪わなあかん。 それは、王都にあってええもんやないんや!」





「貴様ら、王都を裏切るつもりか?!」





「ふん。 俺は王都に組したなんて言ったことはあらへんよ。」





「長太郎! お前も裏切るというのか?! 幸村と蓮二のように!

 王都と敵対してまでも、その者についていくというのか?!」





真田の問いに、長太郎は答える。

その彼の瞳に迷いは一切なく、真田達をしっかりと見据えていた。





「はい。 俺はこのマスターについて行くと決めたんです。

 たとえこれから狙われようと、この覚悟は変わりません。」





長太郎の決意は固かった。 それを知り、真田は口を閉ざす。

と、今まで事の成り行きを見守っていた赤也が、今度は口を開いた。





「マスター、説得はもう無理っすよ。 長太郎は絶対に自分の考えを変えねーっすから。

 で、どうするんすか?」





「決まってるだろう。 反逆者と分かった以上、今この場でケリをつける。」





「そうこなくっちゃ。 思いっきりやっていいっすよね?」





「ああ。 だが、少しは加減しろよ。」





「了解っす!」





赤也はそう言うと、手の骨をパキパキと鳴らした。

その様子を見て、忍足は溜め息をつく。





「やっぱ、力づくになるんやな・・・。 ホントはこんなことしたかなかったのにな。

 長太郎。 お前も力抜くんやないで。 あの2人は危険や。」





「分かっています。 あの人達のエレメントは、3強の中でも戦闘向きです。

 マスターも気をつけてください。」





「ああ。 じゃあ、やらせてもらうで!!」





忍足のその言葉を合図に、4人は一斉に動いた-----。



                                                ☆



「来たくなかったな・・。」





誰にも聞こえないような声で、リョーマは1人呟いた・・・。





リョーマと手塚は、再びシルフィードに来ていた。

だが、今回は前のような簡単なものではない。 そして、重い任務だった。





「いたぞ。」





手塚のその言葉に、リョーマはその方向を見る。

そこには、榊が言ってた助っ人であろう2人が立っていた。





「お待ちしてました。 今回、あなた達の手助けをさせていただく討伐隊の者です。

 俺は室町。 こっちが祐太です。」





2人の傍に来ると、サングラスをかけたほうの男がそう言った。

彼の横には、祐太と呼ばれた男が立っている。





「こっちこそよろしく頼む。

 ・・・さて、今の状況がどうなっているのか分かるか?」





「はい。 中には入っていませんからそこまで詳しいことは分かりません。

 しかし、村人は何も気付いていないようです。 特に不審な動きはありません。」





「そうか。 ・・・じきに風が強くなる。 その時に入るぞ。」





「「はい。」」





谷に吹く風は、今はまだ穏やかだった・・・。



                                              ☆



「・・・来たね。」





塔の中で、オジイが1人呟く。

彼の周りには今、不二と佐伯、橘とアキラがいた。





「今の皆の状況はどうなってるの?」





「いっちゃんが今頑張ってくれて、村の皆の幻影を作ってくれているよ。 あいつらは全然気付いていない。

 皆はバネさんと天根達と一緒に裏の洞窟から脱出しているよ。 洞窟の外には、リシーヌの剣太郎が飛竜達と待っているから。

 オジイ、ここはもう大丈夫だよ。 風のオーブを持って、オジイも早く脱出して。

 あいつらは俺達がなんとかするから。」





佐伯がそう言うと、他の3人もその言葉に頷いた。

それにオジイは少しの間黙って座っていたが、やがてその腰を上げた。





「そう言うのなら、わしも行かせてもらうとするよ。 だけど、皆もすぐに来るんだよ?

 ここにはもう、いることも戻ってくることも出来ない。 そんな場所をずっと守る必要はないんだよ。 大切なのは、皆の命。

 サエちゃん、もう自分の命と引き換えっていうのはしちゃダメだよ。」





「うん、分かってる。 心配かけるようなまねはしないよ。

 でも、これからのことも考えてせめてあいつらの戦力は削っておかなくちゃ。」





佐伯がそう言うと、オジイは少し下を向きながら言った。





「そのことなんだけどね、さっき来た人達の中に祐太君が混じっていたんだ。」





「「!!」」





オジイのその言葉に、全員は驚いた。 だが、1番驚いたのはやはり不二だった。





「そんな、まさか・・・!」





「本当だよ。 でも、君達が知っている祐太君じゃあないと思う。

 詳しいことはここからじゃ分からない。 でも、戦うのならかなり苦しい戦いになると思う。 ・・・それでも、君達は行くのかい?」





「行くよ。」





オジイのその問いに、1番早く答えたのは不二だった。





「たとえ祐太と戦うことになっても、僕は行くよ。

 それに、本当のことを確かめなきゃいけないしね。 僕が言うのもあれだけど、祐太は本当は優しい子だから。」





そう言うと、不二は悲しそうに微笑んだ。 すると、佐伯も言う。





「俺も行くよ。 周助だけを行かせるわけにはいかない。

 そこには手塚達もいるんだしね。 彼らはあまりにも危険すぎる。」





「・・・佐伯、そいつらのことなんだが。」





急に、今まで黙っていた橘が口を開いた。





「? 何?」





「あいつら、手塚達は俺とアキラに任せてくれないか?」





「?! 何で?!」





「あの2人、特に手塚は俺と少し因縁があってな。 俺がまだ王都にいて3強と呼ばれるようになる前、あいつと俺は互いに争いあっていたんだ。

 その頃空いていた3強の1つの椅子を巡って、どっちがなるかをな。

 結局俺がなったんだが、その時からあいつは俺に対してかなりの負の感情を持っていた。

 後から知ったんだが俺が王都を抜けた時、あいつは自分から俺を探して殺したいと志願したらしい。

 まあ、その時はあいつだと力不足だってことで幸村になったんだがな。 とにかく、あいつは自分が負けた俺を殺したがっている。

 その前に立ちはだかる者は、たとえ誰であろうとも全てなぎ払うだろう。 それに、俺もそろそろ本当の決着をつけたいと思っていてな。

 だから、頼む。 あいつは俺にやらせてくれ。」





そう橘は言った。 その目はとても真剣だった。

皆、言葉が出てこない。 と、その沈黙を破ったのは不二だった。





「・・・いいよ。 彼は、手塚は君に任せるよ。」





「周助!」





「自分で決着をつけたいって思うのは当然でしょ? それに、僕も言おうと思ってたんだ。

 祐太は、僕が自分で行ってどうなっているのか見極めたいって。

 ・・・これで互いの意見がぶつかることはないね。 オジイ、これで本当にいいと思う?」





不二はその場に未だたたずむ老人にそう問う。 それに、オジイは口を開く。





「自分の思う通りに行動してみなさい。 それを止めることは、誰にも出来はしないよ。

 自分下した選択があっているのか間違っているのかは、誰にも分からない。 とにかく、命を大切に。

 死んでしまっては、もう未来も何も残されてはいないからね・・・。」





その言葉に、4人は頷く。 そして、オジイは最後ににこりと笑って言った。





「さあ、行くのなら行きなさい。 いっちゃんも大分消耗しているはずだからね。

 またあとで会おうね。」





それを合図に、4人はその場から消え去った。 あとに1人残されたオジイは、呟く。





「戦いなんて、醜い以外の何もない。 1つの野望が、全てを闇に覆ってしまう。

 光が足りない。 このままだと命が失われてしまう。 ・・・あの子達に頼んでみるしかないか・・・。」





その場にはまだ、穏やかな風が吹いていた。

これから、哀しみに満ちた風となることを知らないから-----。









【あとがき】

・・・オジイがしゃべりすぎだ!!(何をいまさら。)

この話の中でオジイは、何でも知っている方なんです。 まあ、他にも何人かいらっしゃいますけどね。(何故か敬語。)

色々しゃべらせたくて仕方ありません。 でも、まだ我慢我慢。

次回から戦闘突入・・・かな? 予想外に忍足達のふの展開が早くてあせってます。

手塚達のほうもなんとかしなきゃー!!



06.8.19



BACK ←  → NEXT
SEO [PR] 爆速!無料ブログ 無料ホームページ開設 無料ライブ放送