あの時の屈辱を忘れるものか。

貴様は俺がこの手で八つ裂きにしてくれる!!






Smyphony of destiny  第六章・6





「来たか・・・。」





橘はそう呟き、前方を見据える。

そこには、手塚とリョーマが立っていた・・・。





「久しぶりだな。」





橘がそう言う。 それに、手塚が返す。





「もう2度とその顔を見ることはないと思っていたのだがな。

 一体どうやって6年前幸村から逃げ延びた?」





「さあ、どうだったかな。 だが、本当はそんなことはどうでもいいんだろう?

 お前が今興味あるのは、俺を殺すことじゃないのか?」





橘がそう問うと、手塚の顔をが歪んだ。 それは、笑みだった。 狂気に歪んだ。

それに、リョーマが怯えた表情をかすかに見せた。 アキラも思わず少し後ずさった。 その中、橘だけが1人臆さずに立っている。





「その顔を見るのは6年ぶりだな。 いや、あの時以上だ。 そうとう俺に対する恨みが募っていたようだな。」





「当たり前だろう? あの時のことは決して忘れない。

 あの争いに敗れた時から、貴様のことを忘れたことはない。 いつか俺がお前よりも上だということを証明し、必ず3強の座を奪ってやる。

 そう思っていたのに、貴様は王都から消えた。 榊様に志願したのだがな、力不足だと言われたよ。

 貴様の抹殺が幸村に決まった時はもう無理だと思ったのだがな。 どういうわけか貴様は生きている。

 しかし、そんなことは本当にどうでもいい。 重要なのは、俺が今貴様を殺すチャンスを得たということだ。」





手塚のその言葉は、橘に対する恨みに満ちていた。

あまりの思いの強さに、事情を全て知っているアキラは体が震えるのを感じた。





(恐ろしい・・・。 まさかこんなだったとは。

 本当にこの人を止めることが出来るのか? 今の俺に・・・。)





そう、心の中で思うアキラ。 と、橘が彼にしか聞こえない声で囁いた。





「アキラ、大丈夫だ。 きっとなんとかなる。

 手塚は完全に狂っているようだ。 そこを利用する。 必ず生きてこの状況を脱出するからな。」





「はい、マスター。 俺は、あなたを信じています。」





橘の言葉に、アキラは体の震えが止まっていくのを感じていた。

ああ、この人はいつも自分のことを思っていてくれる。 それが、アキラの心を穏やかにさせていた。





「無駄話はそろそろ終わりにするとしよう。 手塚、俺の命が欲しいのなら全力でかかってこい!!」





「望む所だ! リョーマ! お前も手を抜くな!!」





「・・・イエス、マスター。」





「アキラ、行くぞ!!」





「はい、マスター!!」





4人の姿が、一瞬のうちに消え去った・・・。



                                                  ☆



「おらよっ!!」





一瞬消えたと思った途端、赤也が忍足に切りかかってきた。

それを、なんなくかわす。 いつまでたっても剣を出さない彼に向かって、赤也が言う。





「いつまでも剣出さないなんて、死ぬ気っすか? 生憎、俺はそんな弱くないっすよ。」





「俺に剣は必要ないんや。 剣に頼らんでも、十分戦えるさかいな。」





その言葉に少しむっとする赤也。 と、その2人間に長太郎が割り込んできた。





「マスター、赤也君は俺が相手をします。 彼のエレメントは、俺には効きませんから。

 それに、俺じゃあ真田さんと戦うには力不足なんです。 すいません。」





「分かった。 じゃあ、真田は俺が相手をする。

 エレメントが効かんといっても、油断するんやないで。 アイツには何か得体の知れないもんを感じる。」





「大丈夫です。 ありがとうございます。

 マスターもお気をつけて。 真田さんのエレメントは・・・。」





「言わんでもええよ。 もう分かっとるさかい。 じゃあ、ここは任せる。」





そう言うと、忍足はその場から離れ真田の前に立った。





「待たせて悪かったな。 早速始めよか。」





「大した余裕だな。 武器も出さないとは。

 まあいい。 自分の実力に過信しすぎるとそれがとりかえしもつかなくなることを、その身を持って味合わせてやろう!」





そう言うが否や、真田は剣を抜き忍足に切りかかってきた。

その行動には一切の無駄がなく、忍足は関心していた。





「さすがやなあ。 まったく無駄があらへん。

 せやけど、それだけじゃ俺に傷一つつけることは出来へんで!」





そう言った瞬間、忍足は右手をバッと突き出した。 そこには、真田の振るった剣。

手が切断されると思ったが、剣はその1歩手前で何か見えない壁に遮られたように止まってしまった。





「!!」





それに危険を感じ、咄嗟に身を引く真田。 その瞬間、彼が今までいた場所に風が渦巻いた。

真田の判断は正しかった。 引かなければ、体が切り刻まれていただろう。





「ええ反射神経しとんなあ。」





忍足はそう彼を賞賛する。

だが、真田は眉ひとつ動かさず言う。





「今のは一体何だ?」





「何だって言われてもなあ。 こっちも手の内晒すわけにはいかへんから秘密や。

 せやけど、やっぱ加減しとったらいつまでたってもオーブは返してもらえそうにないわ。

 今度は少しばかり本気でやらせてもらうで。」





そう言うと、忍足は左手を横に突き出し上から下に向かって振り下ろした。

途端、空間が縦にパックリと割れたのだ。 驚愕する真田をよそに、彼はそのまま左手を中に入れた。

そして、それをバッと引き抜くとその手には2メートルはあろうかという長い漆黒の杖が握られていた。





「なっ?! お前、まさか魔導士か?!」





杖を見た真田がそう言う。 その言葉に、忍足は軽く笑いながら返す。





「そうや。 やっぱ普通にしてれば分からへんもんなあ。」





「本当に存在していたのか・・・。

 !! ということは、あの話は真実なのか?」





「? お前さんがなにを知っとるかは分からへんけど、俺は確かに魔導士や。

 昔話に出てくるだけやないんやで。 ほな、続きを始めようか。 あんまし時間かけてられへんのや。」





「そうだな。 ・・・あいつが魔導士なら、このまま戦うのは危険だ。

 ・・・オーブを使ってでもこの場を脱出するしかなさそうだな。 ちっ、あの剣を持ってくるべきだったか。」





2人は互いに向き合う。 その場に、ピリピリとした空気が再び漂った・・・。



                                              ☆



忍足と真田が戦っている所から少しはなれた場所で、長太郎達も戦っていた。

こっちはどうやら向こうよりも白熱した戦いになっているようだ。





「ライズ!!」





長太郎がそう叫ぶと、彼の周辺にあった土が一斉に隆起し赤也を襲う。

それをかわしながら、赤也も唱える。





「稲妻よ、可の者を貫け! サンダー!!」





そう唱えた瞬間、強烈な光と共に一筋の雷が長太郎に向かって落ちる。

しかしそれは長太郎の出現させた土壁によってなんなく防がれてしまった。





「ちっ!」





悪態をつく赤也。 そう、先ほど長太郎が忍足に言った通り赤也の攻撃は彼に一切通じないのだ。

それは、赤也のエレメントが雷で長太郎のエレメントが土だからであった。

土は雷を吸収する。 だから、長太郎には効かないのだ。





「さて、どう料理してやるか・・・。」





長太郎に攻撃を加えながら、赤也は考える。

その瞳は、どこか赤みを帯び始めていた-----。









【あとがき】

戦闘シーンはやはり難しいです。 何が起こっているのかうまく伝わったかな?

突発的に赤也のエレメント発覚。 雷だったんです。

本当は火もいいなあーって考えてたんですけど、すでに別の人が火だったため止めました。

まあ、彼は攻撃的なエレメントだったら何でも合う気がしますけどね。

さあて、次はどこの戦闘を書こうか(えっ?!)



06.9.18



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