タイミングが悪いよ。 何でこんな時に。

だけど、俺達の決意は変わらない。 例えお前達でも、変えることは出来ない。





Symphony of destiny  第九章・11





「乾! 海堂!!」





そう呼びながらこちらに走って来る2人の姿を見て、乾は深い溜め息をはいた。





「タイミングが悪すぎるな。 だが、お前達に邪魔はさせないよ。

 幸村、蓮二。」





そう呟いたかと思うと、乾は2人に向かって何かを投げた。

それは、彼等の間に落ちたかと思った瞬間、透明の膜を地面から天井まで張った。





「これはっ?! まさか、結界か?!」





傍まで寄ってきた2人。 だが、乾の張ったそれに邪魔されて先に行くことが出来ない。





「貞治! 海堂! お前達一体何をするつもりだ?!

 その足元の魔法陣は一体・・・?!」





「俺達は俺達の出来ることで王都に抵抗するつもりなんだ。 幸村、蓮二。

 お前達はジャッカルを助けに来たのだろう? だが、これは知らなかっただろう。

 あいつを助けるには犠牲が欲しいんだよ。 誰かの命が。 そうしなければ、彼は自由になることは出来ない。」





「そうなのか?! だが、そうだとしても何故2人が犠牲になる必要があるんだ?!」





「言っただろ? それでしか、俺達が王都に抵抗する術がないんだ。 戦う力があるのなら、とうに戦っていたよ。

 ・・・さあ、海堂。 始めようか。」





乾のその言葉に、海堂は頷く。 彼等の決意は固かった。

2人は、ただそれを見守るしか出来なかった・・・。





「幸村、蓮二。 悪く思うなよ。 じゃあな。」





「貴方達は生きてくださいね。 今まで、楽しかったですよ。」





遺言を口にする2人。 そして、少しの間をおいて言霊を唱えだした・・・。





『ここに縛られし、かつて生きし者の怨念よ。 我等の血と魂を捧げよう。

 この地の呪縛を解き、解放しろ! リブレイション!!』





その言葉が響いた瞬間、彼等の足元の魔法陣が赤く輝きだした。

光は、2人を包み込む。 辺り一面が赤に満たされたその時、パリンという何かが割れた音が響いた。

急速に引いていく光。 少しして、光は全て消え去った。





「乾、海堂・・・。」





光が消え去った時、乾と海堂の姿も完全に消え去っていた。

しかし、彼等の立っていた赤い魔法陣はその場に残っていた。 大量の、血の海と共に・・・。

これが彼等のものだということは確かだった。 自分の信念を貫いた彼等。

だが、2人はもういない。 仲間が死んだという事実に、幸村達は静かに涙を零した。





ギギギ





そうしていると、今まで固く閉ざされていた巨大な扉が開いていった。

そして中から現れたのは、同じように涙を零すジャッカルだった・・・。



                                                ☆



キインっという澄んだ音が響く。 それは、剣と剣が互いにぶつかり合う音。

柳生の振るったそれを、日吉の剣が受け止める。 その瞬間、日吉の左手から放たれた風の刃。

咄嗟に後ろへと跳躍しつつ、柳生も左手を前に翳して言霊を唱える。





『イレイズ!』





すると日吉の放った攻撃は、柳生に届く前に消滅した。 しかしそれを読んでいたのか、彼は再び刃を放つ。

さすがに言霊が追いつかなく、剣で刃を全て薙ぎ払う。 その隙に日吉は柳生の背後に。





「!!」





「終わりです。」





日吉の剣が、ギラリと輝いた―――。



                                                 ☆



『『ライトニング!!』』





仁王と菊丸が、同時に怒鳴る。 その瞬間、強烈な雷が互い目掛けて落ちる。

しかしそれは、目標には当たらずに床を削っただけだった。





「隙みっけ! 『スナップカット!』」





菊丸に向けて、千石が何本もの風の刃を放つ。 それを、彼は抜群の反射神経で避けていく。





「ちっ。 やっぱあいつにはそんな簡単に攻撃与えることは出来んか。

 菊丸は王都内でも抜群の動体視力と反射神経持っとったしの。 時間がかかりそうじゃ。」





「いや、そんなかけない。 次で決着をつけるよ。

 仁王君、忘れてもらっちゃ困るよ。 俺だって動体視力はいいんだからさ。 で! サポートよろしく!」





そう言うが早いか、千石は菊丸に切りかかっていく。 仁王も、少し遅れてそれに加わった。

2人からの攻撃の猛ラッシュに、さすがの菊丸も耐え切れなくなってきたのか後ろにバッと跳躍した。





「仁王君!」





「分かっちょる! 『ディスチャージ!!』」





言霊が響き渡った瞬間、菊丸を中心に強烈な電気のボールが包み込む。

彼の姿が見えなくなった瞬間、とんでもない電圧の電気がバリバリと中の者を襲う。 だが・・・。





『オフリレイション!!』





そう唱える声が聞こえた途端、仁王の作り出した電気のボールが消し飛んだ。

だが、それを読んでいた千石が抜群のタイミングで唱える。





『ステイケルス!!』





猛烈な風が菊丸を襲う。 少ししてそれが収まった時、彼は意識を失くし床に倒れ伏していた―――。



                                                 ☆



『グラビレイション!!』





重力で出来た球が、滝と佐伯の2人に襲い掛かる。 それをなんとか避けた2人。

しかしあまりの攻撃力の高さに、思わず空中でよろけてしまう。





「なんて強さなんだ。 こんな力、今まで見たことない!」





「確かに彼の力は特殊で尚且つ強力だね。 仕事柄情報だけは持っていたけど、まさかここまでとは。

 とにかく佐伯! 僕が彼の動きを止める! その隙に!」





滝のその言葉に、佐伯は頷くことで答える。 それを確認した滝は、そのまま傍にあった柱を蹴る。

一気に伊武の真上まで飛ぶ。 そして。





『コンフィアー!!』





そう唱えながら右手を前に突き出す。 すると滝の体を中心に、針のように細い水が大量に打ち出される。

その1本1本がまるで意思を持っているかのように、どれもが複雑な軌道を描きながら伊武を狙う。





「ちっ!」





軽く舌打ちをしつつも、逃げる場所などどこにもない。 覚悟を決めたのか、伊武は剣を構える。

だが、彼が起こした行動は予想もしていなかったものだった。





『ウィラップ!』





そう唱えつつ、左手の平を剣の根元から先へ一気に走らせる。

手を完全にどけた時、彼の刃は漆黒へと色を変えていた。 闇の剣を思わせるその姿。

そして彼はその剣を、頭上でたった1回振った。 それは無意味なもののように見えた。 だが・・・。





「なっ?!」





伊武のその剣は、滝の放った水の針の軌道を全て変えたのだ。

まるでそこを遮る壁があるかのように。





「くっそ! 重力の壁を作ってあれを全て受け流したというのか?!

 だけど、それだけ大きな隙が出来ればこちらのものだ! 佐伯!!」





滝がそう怒鳴った瞬間、伊武の背後から今まで気配を完全に絶って姿をくらましていた佐伯が現れた。

今まで気を使っていなかったため、伊武の反応が遅れる。





「これで終わりだ! 『アンクロス!!』」





その言葉が紡がれた瞬間、風が渦を巻き伊武を襲う。 咄嗟に重力の壁で回避しようとする。

しかし風はそんなものなどないかのように、彼を襲う。 猛烈な風は、伊武を一瞬で包み込んだ。

轟々とうねりを上げる。 それに身を弄ばれる伊武。 少しして風が収まった時、彼も意識を失い床に倒れ伏していた―――。



                                                 ☆



「ねえ、桃城君。 君にもきっと大切なものはあるんだよね・・・。」





剣を振るいながら、不二はそう語りかける。 当然、彼からの返事はない。

何の感情もない表情で、不二に向かってくる。 その姿に、不二は自分の弟の姿を重ねた。

榊の人形とされ、襲い掛かってきた祐太。 その時の彼の表情と、今の桃城の姿はあまりにも同じだった。





「本当は、祐太のように助けてあげたい。 でも、それは出来ないんだ。

 僕に力があれば、助けてあげるんだけど・・・。 だからせめて、安息を。」





そう言った瞬間、不二の体が消えた。 咄嗟のことに反応できない桃城。

そして次の瞬間・・・。





「ぐ・・・っは!」





桃城の体を、不二の剣が貫いた。 それは、的確に彼の心臓を貫いていた。

崩れ落ちる桃城。 そしてその場に広がる血の海。





「ごめんね・・・。」





既にピクリとも動かなくなった桃城に向かって、不二はそう呟く。

しかしこれでよかったのだと、自分を説得させる。

最後に振り返った時に見た桃城の顔は、どこか穏やかな表情に不二には見えた・・・。



                                                 ☆



「これで終わりです!」





柳生の一瞬の隙を付いて、日吉の剣が彼を狙う。 咄嗟の反応だった。

柳生は恐ろしいほど早いスピードで振り返り、自身剣を日吉の胸に深々と突き刺した。





「そん・・・な・・・なん・・・で・・・?」





口の端から血を滴らせながら、呻くそうに言う日吉。

それに柳生は、努めて冷静な口調で答える。





「甘く見ないで下さい。 あれくらいでは私を殺すことは出来ませんよ。

 本当はあなたを殺すつもりなんてなかった。 出来れば、救ってさしあげたかった・・・。」





彼のその言葉に、日吉の口元が笑みの形に歪む。





「・・・これで・・・いい・・・んです。 結局俺・・・は、わか・・・っていながら・・・も・・・抗うこと・・・が出来なか・・・った。

 体だけ・・・が、自分の思い通・・・りにならない。 だけど感・・・情はある。

 それが・・・どれほ・・・ど苦しいこ・・・とだった・・・か。 ・・・これ・・・で、俺は・・・解放・・・され・・・る。」





そう、最後の力を振り絞って日吉は言うと、床に崩れ落ちた。 複雑な表情で、彼を見る柳生。

既に事切れた彼の顔には、うっすらと笑みが浮かんでいた・・・。



                                               ☆



ガウンッ





榊の持つ銃から、銃弾が撃ち出される。 それを、咄嗟に左右に分かれて避ける。





「マスター! どうするんすか?!」





「こうなってしまった以上、実力行使しかあるまい!

 榊様! あなたはここで俺達が止める!!」





真田はそう怒鳴りながら、剣をひきぬく。 赤也も同じように剣を抜いた。

そして榊に向かって構える。





「くっ、ははははは!! 全く、愚かな奴等よ。 大人しく私に従っていればいいものの。

 残念だが、貴様等では私を止めることなど不可能だよ。 宍戸!」





榊がそう言うと、ゆらりと宍戸が姿を現した。 彼の姿に、戸惑う2人。

それもそうだろう。 彼等は、5年前から宍戸は長太郎と共に行方不明になっていたのだと思っていたのだから。





「宍戸?! 何故、お前がここにいるのだ?!」





「ふん。 こいつには何を言っても無駄だ。 宍戸も既に私の忠実な駒の1つなのだからな。

 さあ、お前の力であいつ等を捕らえよ!」





その言葉に宍戸は軽く頷き、剣を引き抜く。 そして、一瞬にしてその姿が掻き消えた。





「赤也! 後ろだ!!」





そう怒鳴りながら、真田は赤也を守るように炎を飛ばす。 慌てて飛びのく赤也。

彼のその直ぐ後ろ。 真田の炎に遮られるように、宍戸は立っていた。





「油断するな。 宍戸のあの力は厄介だ。

 『テレポートダッシュ』。 目にも留まらぬ速さで、瞬間的に移動する技。

 その速さは、室町の韋駄天と同等かそれ以上という話だったな。」





「すんません。 気をつけます。 マスター、一体どうしましょうね。」





赤也のその言葉に、少しの間考える真田。 しかし、その思考は榊によって破られた。





ガウンッガウンッ





突如した銃声。 咄嗟に飛びのく。





「ふん。 敵は何も宍戸1人ではないのだよ。

 私の力、見せてやろう。」





そう言ったかと思うと、榊は懐から拳銃をもう一丁出した。 両手に持ったそれを真田達に向けたかと思うと、一気に引き金を引く。

そこから撃ち出されたのは、普通の銃弾のはずだった。 しかし、そうではなかった。

禍々しい力を発する弾。 漆黒に包まれたそれは、恐ろしいほどの速さで彼等を襲う。





「この気配・・・闇っすか?!」





「どうやらそのようだ。 自分がエレメントを持っていることを、今まで隠していたようだ。

 赤也! とりあえず分散するぞ。 お前は榊様を! 俺は宍戸を仕留める!」





「イエス、マスター!!」





そう言葉を交わすと、2人は逆に跳んだ。

赤也は剣を構えながらも、言霊を唱え雷を落とす。 それをなんなく避ける榊。

ちっという舌打ちをしつつも、更に攻撃を仕掛ける。 互いの攻防が、繰り広げられる。

その頃真田も、宍戸相手に苦戦を強いられていた。 何せ彼は移動が早い。

そういう能力のない真田にとって、彼のスピードはまさしく脅威だった。 しかし、これくらいで諦める彼ではない。

言霊を唱えながら、剣に左手の平を滑らせる。 その手の動きに合わせて、剣に纏いつくのは灼熱の炎。

そうして出来た、炎の剣。 それを構え、真田は跳躍する。

最初に振り下ろした剣は、綺麗にかわされた。 しかしそれは予想済み。

その反動を利用して、真田は炎を宍戸へと放つ。 完全に炎に包まれ、自分の勝利を脳裏に浮かべたその瞬間だった。





「甘いぜ、真田。」





突如背後からした宍戸の姿。 それに振り向くが、その時には既に手遅れだった。





「『シーアル!!』」





言霊が響いた瞬間、赤い光が満ちる。





「マスター!!」




赤也の叫びが聞こえる。 そういえば、と真田は思う。 宍戸の能力は封印。 それは、絶対的な力。

もうダメかと思ったその時だった! 目の前にバッと現れた黒い影。 それは・・・。





「壇?!」





それは、完全に榊の人形となっていた太一だった。 何故、彼が?

突然のことに、驚きを隠せないのは真田だけではなかった。 榊も、ありえないという表情をしていた。





「マスター!!」





その隙に、赤也は真田の元に全力で駆け寄って来た。 だが、彼がたどり着く前に真田の体が崩れ落ちる。

それを咄嗟に支える赤也。 しかし、真田の全身を見た時、彼の顔が凍りついた。





「マスター、マスター! 目を開けてくれっす!!」





悲痛な声で叫ぶ。 壇が庇ってくれたお陰で、完全に宍戸に封印されることは免れた。

しかし、その身の半分は封印されている状態だったのだ。 その状態で、真田は目を開け口を無理矢理動かす。





「赤也・・・お前は、逃げろ。 そして幸村達の元へと行け。」





「そんな!!」





「そうするしか、お前が助かる術はない。 ここは、俺がなんとか抑える。 だから、行け。」





「そんなの無理っす! マスターを置いていけるわけないじゃないっすか!!」





「Seek out your next」





その時、不意に真田の口から告げられた言葉。 それは、赤也にとって今最も残酷な言葉だった。

何かが、自分の中で切れる感じがした。 それは、真田との契約が切れた証。





「・・・これで、俺はもうお前の主ではない。 さあ、行け!

 赤也。 今度はもっといい主を見つけ、幸せになれ。 もう俺のような、お前を悲しませる者を選ぶのではないぞ・・・。」





真田のその、悲痛な願いに赤也は涙ながらに頷く。 そして・・・。





「ありがとう・・・ございました・・・!!」





そう声を絞り出して言うと、バッとその身を翻した。 だが、その先には宍戸の姿。

当然邪魔されるものと思っていた。 しかし、彼はまるで時が止まったかのように動かなかった。

その隙に赤也は、部屋を飛び出す。 これに慌てたのは榊だった。





「宍戸! 一体何をしている?! ええい、駒が1つ逃げてしまうではないか!」





そう呻く。 そして赤也を狙って銃の引き金を引く。 数発の銃弾が赤也を襲う。

そして更に追撃の攻撃を仕掛けようとしたが、それは真田によって妨害された。





「赤也だけは、お前に渡さん!!」





体を半分封印され、自由も利かないのにそれでもものすごい気迫。

無理矢理体を動かし、炎を操る。 それを忌々しく思いながらも、榊は応戦する。

しかし、いくら3強といえどもこの状態で勝てるわけが無かった。 だが、真田はこれで満足だった。

大切なパートナーを、守ることが出来たのだから。





(赤也・・・。 すまない。

 そして・・・壇、お前にもすまないことをした。 だが、ありがとう。)





(いえ。 僕も力になりたかったですから。

 これでよかったんです。 これで・・・。)





真田に語りかけていたのは、体を全て封印されてしまった太一だった。

最後の力を振り絞って、亜久津に想いを伝えようと思った。 しかし、そこへ現れた2人。

真田がやられそうになった瞬間、彼を助けたいと強く思った。 それは、彼に自分の主の姿を重ねたからかもしれない。

その思いが通じたのだろうか? 久しぶりに、体の支配が自分に戻った。 その瞬間、彼は真田の前に飛び出した。

彼を、守るために。 そして、この場を去る赤也の邪魔をさせないように、宍戸の思考にも語りかけ動きを止めた。

彼もまた、太一と同じような状況なのだ。 ただ、彼よりも支配はより強力だが・・・。

だが、それで残っていた僅かな力を全て使ってしまったのだろう。

もう、遠くの地にいる亜久津に想いを飛ばすことが出来なくなってしまった。 だが、これでよかったのではないかと思う。

赤也を、救うことが出来たのだから。





(マスター、ごめんなさい・・・。)





消え行く思考の中で、そう小さく呟く。 例え、この想いが届かなくても自分はいつも主の傍にいる。

そう、心の中で強く思いながら太一の意識は底の見えない闇の中へと沈んでいった・・・。





(赤也・・・。 幸村、蓮二・・・。 あいつを、頼むぞ・・・。)





そう思いながら、真田の意識も闇の中へと沈んでいった・・・。





「ええい! 忌々しい!!」





床に横たわる、既に動かない太一と真田の体を蹴り上げる榊。 その横には、宍戸が静かに佇んでいる。





「全くの予想外だったわ。 まさかこのような事態になるとは。

 とにかく、真田はまだ利用価値がある。 闇のオーブを使う時がきたようだな。

 ・・・宍戸、お前は鳳を連れて来い。」





榊の言葉に頷き、隣の部屋に入る宍戸。 そして長太郎の入る筒を静かに見上げる。

静かに傍のパネルを操作する。 ゆっくりとなくなっていく緑色の水。

それを見上げる宍戸の顔はやはり無表情。 だが、その左頬に一筋の涙が伝った・・・。





「さあ、行くぞ。」





部屋を出ると、榊はそう言った。 彼の横には、完全に目の色のない真田の姿。

無表情で、立っている。 そして、床には心臓を撃ち抜かれた太一の遺体が静かに横たわっていた・・・。





「全く、壇も最後に面倒なことをしてくれたものだ。 千里眼しか能のない奴が、私に楯突くなど。

 それにしてもこのオーブ。 素晴らしい力だ。 まさかこんな一瞬で人形に出来るとは。

 くくく。 これで私の力も増幅された。 魔導士達など、おそるるにも足らん。」





楽しくて仕方ないといった笑いを溢す榊。 そして、ばっと身を翻すと時のカケラを取り出す。

青い光が4人を包み込む。 その場から消えていく彼等。

彼等が消え去った時、その場に残されていたのは2人の遺体と、封印されたままの忍足のみだった―――。









【あとがき】

なんか、ここまで1話が長いの書いたの初めてかもしれない。

さあ! 今回こそは結構進展しました。

真田と赤也が、榊によって引き裂かれてしまいました。

真田は赤也が大事で、赤也も真田がとても大事なのです。 しかし、こういう最悪の別れをしてしまった2人。

果たして彼等の運命は?!

そして遂に討伐隊でも死者が。 ちなみに日吉は、太一と同じで思考は正常でした。

ただ、体の自由が全く利かなかったため、今まで言いなりなっていたのです。

この話だけでも、かなりのキャラが死んでいきました。 多分、これからも増えていくことでしょう。

たくさんの犠牲の上で、この物語がどこにたどり着くのか。 そこまで、頑張って書きたいと思います。



07.9.18



BACK ←  → NEXT









SEO [PR] 爆速!無料ブログ 無料ホームページ開設 無料ライブ放送